「駅すぱあとアンテナ」2024年6月号 「不思議な木造建築探訪」

 

 

 


今月の特集は、日本の木造建築。全国各地に名建築がありますが、その中でも不思議な印象を与える建築をご紹介します。古今東西の匠の技にご注目ください。

まずは、いにしえの木造建築の中でも群を抜いて「不思議」と称される建築からご紹介しましょう。福島県会津若松市の円通三匝堂(えんつうさんそうどう)、通称「会津さざえ堂」です。

高さ16.5m、六角三層のさざえ堂が建立されたのは江戸中期の終わりに差し掛かる1796年のこと。この地の飯盛山に正宗寺という寺院があり、その住職だった郁堂(いくどう)なる僧侶が考案したという説が有力です。その一方で、16世紀初頭に二重らせん階段を作ったといわれるレオナルド・ダ・ヴィンチの構想が海を渡り、元になったという説も。真相は謎に包まれています。

独特な二重らせん構造は上りと下りが別の通路、すなわち一方通行になっています。スロープ階段を時計回りに1周半すれば最上部にたどり着き、そのまま1周半下ると建物の裏口へ着きます。

かつては、建物内の通路に沿って西国三十三観音像が安置されていたそうです。一度お参りすれば、西国三十三観音参りと同等の御利益を授かることができたとのこと。東北から西国まで遠路はるばる足を運ばなくてもよいとあって、人気を博していました。

世界でも珍しい建築様式を取り入れ、さざえに形が似ていることから「さざえ堂」として親しまれているこの建物は、1995年に国指定重要文化財となりました。現在も建物内に入り、その不思議な空間を体感することができます。なお周辺には白虎隊ゆかりの地も点在しており、歴史散策にもピッタリです。

続いてご紹介するのは、「そんなところに建てたの!?」と驚かされる木造建築、三徳山三佛寺投入堂。鳥取県東伯郡三朝町にある標高900mの山岳寺院、三徳山三佛寺の奥の院です。

垂直に切り立った崖の窪みに、つばめが巣をつくるように建てられたお堂。国宝に指定されていますが、詳しい建立時期は不明です。修験道の開祖、役小角が法力で平地にある建物をふわりと浮かし、窪みに投げ入れたという伝説も残っているほどです。

このお堂を間近で見るためには、それこそ修験道の行者のように険しい山道を辿る必要がありますが、ふもとの車道には投入堂遙拝所があり、そこから双眼鏡や望遠鏡で望むことができます。また、こうした建築様式は「懸造(かけづくり)」と呼ばれ、有名どころだと"清水の舞台"として知られる清水寺の本堂や、奈良の東大寺の二月堂などがあります。千葉県長生郡にある笠松観音の観音堂は、日本で唯一の「四方懸造」様式。機会があればぜひ不思議な建築を訪ねてみてはいかがですか。
会津さざえ堂
三徳山三佛寺

温かみのある空間を生み、湿度を適切に保つ木造建築は、今なお進化を遂げています。続いては、日本が誇る現代の木造建築の中でも、驚きと不思議さが際立つ建築をご紹介しましょう。

まずは兵庫県淡路市。淡路島に広がる森、その中空に浮かぶように建てられた木造建築が「禅坊 靖寧(ぜんぼう・せいねい)」です。

同施設は"禅坊"とあるように、座禅や瞑想、ヨガ、書、茶の湯、ヘルシーな禅坊料理に至るまで、日常を離れて禅(ZEN)体験できる日帰り&宿泊施設。心身の健康志向が高まると同時に、自分を見つめなおす機会でもあったコロナ禍の2022年にオープンしました。

設計は、"建築界のノーベル賞"といわれるプリツカー賞受賞歴を持つ建築家、坂茂(ばん・しげる)氏。森の中に浮かぶ全長100mのウッドデッキは日本杉を組み合わせて作られたもので、裸足で歩くだけで木や森、自然との一体感を味わえます。降り注ぐ日差しと、吹き抜ける風を受けながら"非日常"に浸ってリフレッシュしたい方におすすめです。

続いてご紹介する現代木造建築は高知県西部、梼原(ゆすはら)町にある「雲の上のギャラリー(木橋ミュージアム)」です。

設計は、現在の国立競技場や高輪ゲートウェイ駅、富山市ガラス美術館などを手がけ、木材を駆使したアーキテクトに定評がある隈研吾(くま・けんご)氏。

町面積のおよそ90%を森林が占め、標高も高い梼原町において、森の中に溶け込むような建築を目指して建てられました。木の枝葉のように広がり、漏もれ日のような光と影を作り出す建物は、日本の伝統的な工法「斗きょう※きょうは木へんに共」をモチーフとし、刎木(はねぎ)を何本も重ねながら、桁を乗せていく「やじろべえ型刎橋(はねばし)」というべきもの。刎橋という忘れられた技術が、新たな形で蘇っています。

また、梼原町総合庁舎やまちの駅「ゆすはら」、介護施設「YURURIゆすはら」、梼原町立図書館 (雲の上の図書館)も隈研吾氏の設計によるもの。驚きがありながら、心落ち着く温かさも感じる同氏の建築を訪ね歩いてみてはいかかですか。
禅坊 靖寧
雲の上のギャラリー(木橋ミュージアム)
伊豆箱根をはじめ、神奈川県や静岡県に観光に訪れた際に、ライオンズカラーのバスを見かけたことはありませんか?そのバスこそ伊豆箱根バス。熱海や沼津、三島など各地域で路線バスを運行し、主要な観光スポットを結んでいます。まずは伊豆箱根エリアの沿線のおすすめ観光地から教えていただけますか?

『たくさんの観光スポットが点在していますが、まずはやはり大涌谷ですね。ロープウェイ以外の公共交通機関は当社バスのみで、常に噴気が立ち昇り、地熱を利用した「黒たまご」などのグルメでも知られています。近年は富士山ビュースポットとして、黒たまごの巨大オブジェ越しに富士山を撮影する方も多くみられます。2つめのおすすめは、箱根小涌園ユネッサン。「ワイン風呂」などの変わり種のお風呂がいくつもあり、昨年の大規模なリニューアルによって流れるプールも登場しました。ちなみに、箱根を走る当社バス路線はいずれも「小涌園」バス停を経由しています。そのうちの一路線の終点となる箱根園もおすすめしたいですね。ここには日本一標高が高いところにある水族館、箱根園水族館があります。海水も運び込んでいるので海の魚も見られますよ。駒ヶ岳ロープウェーの麓駅も箱根園にあります』(土屋さん)

箱根観光にはバスが欠かせませんね。熱海エリアの沿線だと、どのような観光地がありますか?

『このエリアのおすすめは来宮神社ですね。関東でも屈指のパワースポットとして人気があり、御神木の大楠も迫力満点ですよ。「お酒に関する災難を避ける」という珍しい御利益もあって、禁酒の成功を祈願する方も参拝に訪れています。一方で境内には複数のおしゃれなカフェもあって、若い方にも人気です。また、春は梅が咲き誇る熱海梅園、夏は花火大会の舞台となる熱海サンビーチも多くの方で賑わっています。熱海海上花火大会は夏だけでなく、1年を通して10回以上も開催されているんですよ』(土屋さん)

花火大会が複数回あると、旅行の計画も立てやすそうですね。沼津・三島エリアはいかがでしょう?

『まずは沼津港。飲食店やお土産屋が並んでいるだけでなく、沼津港深海水族館などの観光施設もあって、近年乗車される方が増えている路線のひとつです。なお沼津駅~沼津港間では、国内初の民間事業者の路線バスとしてEVバスを運行しています。時速20km以下でゆっくりと走って、開放感あふれる車両も体験いただきたいですね。その他のおすすめスポットとしては、人気アニメの舞台にもなった伊豆・三津シーパラダイスや、富士山と駿河湾を望む絶景スポットとして近年人気の伊豆パノラマパーク(碧テラス)があります』(土屋さん)

観光地が目白押しですね。観光で訪れる方々からはどんな声が寄せられていますか?

『特に箱根エリアは人気なので、渋滞が発生することもあります。そんな時は「このバス停で降りて乗り換えたほうがいいですよ」「30分後に来る箱根新道を通るバスをご利用いただいたほうが、結果的にスムーズに着きますよ」などと案内所の職員や運転士がお声がけしています。「それは知らなかった」と感謝いただくこともありますね』(土屋さん)

その情報はありがたいですね。ご利用にあたってお得なチケットはありますか?

『それぞれの沿線でご利用いただける乗り放題チケット「箱根バスフリー」「熱海満喫乗車券」をはじめ、伊豆・三津シーパラダイスの入園料金と電車、バス乗車券がセットになったお得なチケットもありますので、旅行のご予定に合わせてご活用ください。マイカーと違って駐車場の心配なく楽しめて、伊豆・箱根のおいしいお酒も召し上がっていただけるバス旅をぜひご満喫ください』(土屋さん)

お話、ありがとうございました。初夏から夏にかけての旅にピッタリな、箱根や熱海、沼津のバス旅。皆さんもぜひ計画を立ててお出かけください。
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次回2024年7月号は、2024年6月26日(水)配信予定です。お楽しみに!
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発行日 2024年5月29日(水)
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