「駅すぱあとアンテナ」2025年5月号 「色彩の絨毯」

 
ようやく過ごしやすい季節がやってきました。ゴールデンウィークも始まる中、今月は清々しい気持ちになれる、野一面の花特集。春爛漫の雰囲気をぜひお楽しみください。

いろいろな種類の"野一面の花"が楽しめるスポットとして、まずご紹介したいのが福岡県の能古島(のこのしま)です。

能古島は周囲約12kmの小さな島で、福岡市の姪浜渡船場からフェリーでわずか10分の距離にあります。島に上陸した後、バスに揺られて島北部へ。海を望む風光明媚な地に、四季折々の花が咲く自然公園「のこのしまアイランドパーク」が広がっています。

春は桜や菜の花、夏はひまわり、秋はコスモス、冬は真っ白いオキザリスと、一年を通じて花のじゅうたんが敷き詰められた風景を満喫できる同パーク。4月上旬から5月中旬にかけては南アフリカ原産のキク「リビングストンデイジー」が咲き誇ります。

あまり聞きなれない名前の花ですが、その華やかさは写真をご覧いただければ一目瞭然。赤や橙、黄、紫紅、ピンクと色とりどりの花が約3万株、約7000平方メートルにわたって入り混じるように咲き、日光が当たらない雨の日や夜は閉じる特色を持っています。花を踏まなければ畑の中で撮影することも可能です。

例年5月下旬から7月上旬にかけては、マリーゴールドが開花。島の北側の斜面およそ1万平方メートルにわたって約5万株が黄や橙など色ごとに帯状に植えられており、背景に広がる海と相まって胸のすくような風景が広がります。

背景が海から一転、霊峰富士をバックに野一面の花が広がるのは、富士五湖のひとつ本栖湖。例年ゴールデンウィークに花の盛りを迎える芝桜が主役の「富士芝桜まつり」が5月25日(日)まで開催されています。

ひとえに芝桜といっても品種はさまざま。濃いピンクの大輪咲「マックダニエルクッション」や白い「モンブラン」、可憐なピンク色の「オータムローズ」、花弁の周りが白く縁どられた「多摩の流れ」、淡い赤紫色の「オーキントン・ブルーアイ」など7品種の芝桜を効果的に配置されています。五月晴れの空と富士山と芝桜、そのコントラストの美しさは圧巻の一言です。

ちなみに、芝桜まつりの会場に隣接している「ピーターラビット(TM)イングリッシュガーデン」もぜひ立ち寄ってみましょう。2022年春にオープンした同ガーデンは関東最大級の英国式庭園で、約300種類の草木や花々が、世界中で愛される物語『ピーターラビットのおはなし』絵本シリーズの世界観と共に広がっています。
のこのしまアイランドパーク
富士本栖湖リゾート

続いては、島根県松江市・安来市と鳥取県境港市・米子市にまたがる潟湖「中海」に浮かぶ大根島が舞台。ここに日本庭園「由志園」 があります。

かつてこの特集でも、冬牡丹の名所として由志園をご紹介しました。再びご紹介するのは、ゴールデンウィークにしか見られない催しがあるからです。5月6日(火・祝)まで、「池泉牡丹2025」が開催されています。

大根島は日本一の牡丹苗の生産地。苗の株を太らせるため、開花前につぼみを摘み取ります。一方で、接ぎ木に使う大株は品種交配などの目的で数年に1度、開花させて摘み取っています。毎年開花させる大株の花の数は、実に数万輪。そのうち3万輪を池泉に浮かべて一般開放しているのがこのイベントです。苗を育てる生産地だからこそ実現する風景といえるでしょう。野一面ではなく、池一面の花のじゅうたんです。

最後にご紹介するのは、茨城県ひたちなか市の国営ひたち海浜公園です。もはや全国区の知名度を誇るようになった「ネモフィラ」の聖地といっても過言ではありません。

ネモフィラは北アメリカ原産のムラサキ科ネモフィラ属の花。直径2~3cmの小さな青い花です。同公園の「みはらしの丘」には、ネモフィラが約530万本。4月中旬から5月上旬にかけてが例年の見頃で、ピーク期間は1週間~10日ほどとなります。野一面が青く染まる姿は格別で、菜の花とのコラボレーションも見事。そこに今年はクリーム色の菜の花も加わり、3色の競演を楽しむことができます。

なお同公園では、昨年より1万本ほど増えたチューリップやムスカリもほぼ同時期に見頃を迎えます。ぜひとも花を愛でにお出かけください。
由志園
国営ひたち海浜公園
京都の洛北エリア巡りに欠かせない公共交通機関として利用されている叡山電車。"叡電(えいでん)"の愛称で親しまれ、出町柳駅から八瀬・鞍馬方面にアクセスしています。沿線には瑠璃光院や比叡山延暦寺、貴船神社や鞍馬寺など京都を代表する名所が点在していますが、これからの季節の見どころを教えていただけますか?

『ひとつは「もみじのトンネル」ですね。出町柳駅から鞍馬駅行きの列車に乗り、市原駅~二ノ瀬駅間にあります。約250mの区間に、およそ280本のイロハモミジやオオモミジが線路を覆うようにして茂っていて、紅葉の時期は多くのお客様に列車に乗りながらの紅葉狩りをお楽しみいただいています。一方で、4月下旬頃から5月下旬にかけて、目に眩しい「新緑の青もみじ」期間もおすすめしたいですね。実は私、昨年まで運転士をしていたので、「もみじのトンネル」を運行するたびに、清涼感たっぷりの青もみじは素晴らしいなと常々感じていました。ぜひ車窓いっぱいに広がる清々しさを感じていただきたいですね。なお7月上旬から8月中旬にかけてライトアップされる青もみじも美しいですよ』(傘谷さん)

叡電さんの車両は窓も大きいですし、胸のすくような風景を楽しめそうですね!他におすすめのスポットはありますか?

『沿線には由緒ある寺社仏閣がたくさんありますが、木野駅が最寄りの妙満寺(みょうまんじ)を推したいですね。京都の「雪月花の三名園」をご存じでしょうか?清水寺成就院の「月の庭」、北野天満宮の「花の庭」、そして妙満寺の「雪の庭」の3つです。このうち明治初期に取り壊されていた「花の庭」が2022年に再建され、同年に妙満寺の「雪の庭」も改修工事が完了して、3つの庭が揃い注目を集めています。「雪の庭」という名前のとおり、妙満寺の庭園は雪景色の美しさが特に際立っています。また、約3,000株もの境内のツツジが見頃を迎える5月も、知る人ぞ知る花の名所として人気です。毎年5月15日には京都三大祭りのひとつ、葵祭も催され、時代装束を身に纏った行列が街中を練り歩きます。タイミングがあえば、ぜひその時期にお越しいただきたいですね』(傘谷さん)

5月の京都、過ごしやすそうで本当に惹かれます。一方で、叡電さんは個性的な車両が多いので、鉄道ファンの方も楽しめそうです。

『ありがとうございます。比叡山と鞍馬山、その荘厳で神秘的な雰囲気を「楕円」をモチーフとして大胆に表現した外観が特徴的な「ひえい」と、沿線の風景をたっぷりと満喫できる展望列車「きらら」に加え、2024年2月にリニューアルしたレトロ調電車「ノスタルジック731 改」にもご乗車いただきたいです。1925年の叡山本線開業当時に運行していた「デナ1型」をイメージした車両に一灯式前照灯を前面配置するなど、新たに生まれ変わっています』(傘谷さん)

ぜひ乗ってみたいです!旅行者に便利なきっぷはありますか?

『1日乗車券「えぇきっぷ」など、旅行スタイルに応じたお得な乗車券を発売しています。ちょっと風変りなのは「京都一乗寺らーめん切符」ですね。実は一乗寺界隈はラーメン店が立ち並ぶ激戦区でして、叡山電車の1日乗車券と、界隈の参加店舗のうち1店舗で対象のラーメンを食べられる券がセットになっています』(傘谷さん)

それは面白いですね。京都旅行だと和食が中心になりそうですが、お昼に一杯、京都ゆかりのラーメンを食べてみたいです!

『他にも沿線には人気のスイーツ店やパン屋さんなど、グルメなお店が点在しています。新緑を含めた季節の移ろいを満喫しつつ、車両も楽しむ叡電の旅にぜひお越しください』(傘谷さん)

お話、ありがとうございました!風薫る5月の京都・洛北の旅へ、ぜひ皆さんもお出かけください。
叡山電鉄株式会社:
詳細は駅すぱあと改訂情報をご覧ください。
次回2025年6月号は、2025年5月28日(水)配信予定です。お楽しみに!
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発行日 2025年4月30日(水)
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