京都の洛北エリア巡りに欠かせない公共交通機関として利用されている叡山電車。"叡電(えいでん)"の愛称で親しまれ、出町柳駅から八瀬・鞍馬方面にアクセスしています。沿線には瑠璃光院や比叡山延暦寺、貴船神社や鞍馬寺など京都を代表する名所が点在していますが、これからの季節の見どころを教えていただけますか?

『ひとつは「もみじのトンネル」ですね。出町柳駅から鞍馬駅行きの列車に乗り、市原駅~二ノ瀬駅間にあります。約250mの区間に、およそ280本のイロハモミジやオオモミジが線路を覆うようにして茂っていて、紅葉の時期は多くのお客様に列車に乗りながらの紅葉狩りをお楽しみいただいています。一方で、4月下旬頃から5月下旬にかけて、目に眩しい「新緑の青もみじ」期間もおすすめしたいですね。実は私、昨年まで運転士をしていたので、「もみじのトンネル」を運行するたびに、清涼感たっぷりの青もみじは素晴らしいなと常々感じていました。ぜひ車窓いっぱいに広がる清々しさを感じていただきたいですね。なお7月上旬から8月中旬にかけてライトアップされる青もみじも美しいですよ』(傘谷さん)
叡電さんの車両は窓も大きいですし、胸のすくような風景を楽しめそうですね!他におすすめのスポットはありますか?

『沿線には由緒ある寺社仏閣がたくさんありますが、木野駅が最寄りの妙満寺(みょうまんじ)を推したいですね。京都の「雪月花の三名園」をご存じでしょうか?清水寺成就院の「月の庭」、北野天満宮の「花の庭」、そして妙満寺の「雪の庭」の3つです。このうち明治初期に取り壊されていた「花の庭」が2022年に再建され、同年に妙満寺の「雪の庭」も改修工事が完了して、3つの庭が揃い注目を集めています。「雪の庭」という名前のとおり、妙満寺の庭園は雪景色の美しさが特に際立っています。また、約3,000株もの境内のツツジが見頃を迎える5月も、知る人ぞ知る花の名所として人気です。毎年5月15日には京都三大祭りのひとつ、葵祭も催され、時代装束を身に纏った行列が街中を練り歩きます。タイミングがあえば、ぜひその時期にお越しいただきたいですね』(傘谷さん)
5月の京都、過ごしやすそうで本当に惹かれます。一方で、叡電さんは個性的な車両が多いので、鉄道ファンの方も楽しめそうです。

『ありがとうございます。比叡山と鞍馬山、その荘厳で神秘的な雰囲気を「楕円」をモチーフとして大胆に表現した外観が特徴的な「ひえい」と、沿線の風景をたっぷりと満喫できる展望列車「きらら」に加え、2024年2月にリニューアルしたレトロ調電車「ノスタルジック731 改」にもご乗車いただきたいです。1925年の叡山本線開業当時に運行していた「デナ1型」をイメージした車両に一灯式前照灯を前面配置するなど、新たに生まれ変わっています』(傘谷さん)
ぜひ乗ってみたいです!旅行者に便利なきっぷはありますか?
『1日乗車券「えぇきっぷ」など、旅行スタイルに応じたお得な乗車券を発売しています。ちょっと風変りなのは「京都一乗寺らーめん切符」ですね。実は一乗寺界隈はラーメン店が立ち並ぶ激戦区でして、叡山電車の1日乗車券と、界隈の参加店舗のうち1店舗で対象のラーメンを食べられる券がセットになっています』(傘谷さん)
それは面白いですね。京都旅行だと和食が中心になりそうですが、お昼に一杯、京都ゆかりのラーメンを食べてみたいです!
『他にも沿線には人気のスイーツ店やパン屋さんなど、グルメなお店が点在しています。新緑を含めた季節の移ろいを満喫しつつ、車両も楽しむ叡電の旅にぜひお越しください』(傘谷さん)
お話、ありがとうございました!風薫る5月の京都・洛北の旅へ、ぜひ皆さんもお出かけください。