「駅すぱあとアンテナ」2025年1月号 「降るも絶景、降らぬも絶景」

 
 
旅先で天候が崩れるのは避けたいものですが、時として素晴らしい絶景が見られることもあります。晴れていても絶景、雪化粧しても絶景。そんなスポットをご紹介しましょう。

まずご紹介するのは、京都の宮津湾に広がる天橋立。いわずと知れた日本三景のひとつに数えられ、日本の白砂青松百選や日本の渚百選などにも選ばれている名勝です。

幅は約20~170m、全長約3.6kmに連なる砂州は高い位置から全体像が見られるため、昔から観光名所として名を馳せてきました。天橋立ビューランドから"股のぞき"の体勢で眺めると、天に舞い上がる龍のように見えることから"飛龍観"とも呼ばれています。天橋立ビューランドの反対側に位置する傘松公園からの眺めは"斜め一文字"。天にまっすぐ伸びる橋のように見えます。

その姿が"白龍"と化すのは年に数回。凍った松葉に新雪が降り積もり、雪化粧した天橋立を眺めることができます。雪深い地域ではないため、太陽が上って気温が上昇すると消えてしまうこともしばしば。よって早朝が狙い目です。

同じく京都には、雪化粧が似合うスポットが豊富です。たとえば修学旅行スポットとしても有名な金閣寺。正式名称は鹿苑寺ですが、舎利殿「金閣」がひときわ有名なため一般的に金閣寺と呼ばれています。

金閣寺は室町幕府の三代将軍・足利義満によって建立され、その庭園や建築は極楽浄土の世界をこの世に体現したものと言われています。そんな世界観を持つ風景に雪が加わるのは、やはり年に数回ほど。しかし建物の屋根を覆う雪の白色と金色が織りなす様子は「京都人でも雪が降れば金閣寺へ駆け付ける」と言われているほど。そんな風景に出会えたら、幸運の一言です。

ちなみに京都だと、貴船神社もおすすめ。山間部に位置するため市内よりも雪が降る機会が多く、参道の階段にずらりと並ぶ赤い灯篭が雪によく映えます。なお灯籠は積雪日限定でライトアップが行われ、幻想的な夜のお参りが実現します。
天橋立
金閣寺

古い日本の古民家と雪化粧の競演も、目を見張るものがあります。

まずおすすめしたいのは福島県南会津に位置する大内宿(おおうちじゅく)。江戸時代、会津若松と日光を結ぶ会津西街道の要衝として栄えた宿場町です。明治に入って鉄道が開通し、宿場としての使命は終わりを迎えましたが、今もなお江戸時代の面影そのままに、茅葺屋根の民家が街道沿いに軒を連ねています。「売らない、貸さない、壊さない」の原則を守り通した住民の方々の想いが、国の重要伝統的建造物群保存地区の選定につながりました。

大内宿のある地域は例年12月頃から雪が降り始め、2月には深い雪に包まれます。その時期、2月の第2土曜、日曜に開催されているのが「大内宿雪まつり」。街道に沿って地元の方々が手作りした雪灯籠がいくつも置かれ、夜にはそれぞれ明かりが灯ります。そして、冬特有の澄み切った空に打ちあがる花火。幻想的な雰囲気に包まれる中、会津地方に古くから伝わる習わし「日本一の団子差し」や和太鼓の演奏などが催されます。

続いては、山梨県南都留郡に位置する名勝・忍野八海(おしのはっかい)です。

太古の昔から繰り返された富士山の噴火活動により、伏流水が流れ着く湧水池がいくつも生まれました。この地の8つの池は富士信仰の巡礼地でもあり、それぞれの池には八大竜王が祀られています。

冬になり雪化粧した忍野八海の風景は、まさに日本昔ばなしの世界。富士山の雪解け水が数十年の歳月をかけてろ過され、澄み切った水を蓄えた池に、すっぽりと雪をかぶった水車小屋などの建物が映り込みます。そして背景には雄大な富士山。夜に降り積もり、朝から晴れた日には最上級の景色が待っています。巡礼地ならではの凛とした空気も併せてお楽しみください。
大内宿(大内宿観光協会)
忍野八海(忍野村観光協会)
"江ノ電"の愛称で全国区の知名度を誇る江ノ島電鉄。鎌倉と藤沢を結ぶ区間には個性豊かな15の駅があり、海を眺めながらのんびり走る電車は湘南のシンボルといえる存在です。湘南といえば"夏"をイメージされる人も多いと思いますが、冬にかけての人気スポットはどこになりますか?

『長谷寺の観音さまや江の島は1年を通じて人気がありますね。近年は冬も賑わっていまして、「江の島シーキャンドル」を中心とした江の島島内や片瀬海岸エリアで催されるイルミネーションイベント「湘南の宝石」も多くの方にお越しいただいています。また、藤沢市にある遊行寺(ゆぎょうじ)では2024年12月22日(日)まで本堂や大イチョウのライトアップが行われていて、こちらもおすすめです。年始になると、初日の出を眺める片瀬海岸、初詣客で賑わう鶴岡八幡宮、箱根駅伝で有名な"遊行寺の坂"が沿線の人気スポットになりますね』(長塚さん)

冬も見どころが目白押しですね!同時に江ノ電に乗ること自体も、この地を訪れる楽しみのひとつだと思います。

『ありがとうございます。駅それぞれに個性がありますし、私もこれまでずいぶん乗っていますが、いまだに稲村ヶ崎駅を過ぎて海が見えた瞬間や、七里ヶ浜駅を過ぎて江の島が見えた時には心躍る気持ちになります。車両もレトロなものから他社様との共同企画で実現したものまで多彩です。現在は京福電気鉄道との姉妹提携15周年記念で実現した「江ノ電・嵐電 姉妹提携号」が運行中で、江ノ電の車体を嵐電カラーにラッピングしています。過去には長谷寺との企画で、壁面に金箔模様、床面に枯山水の模様を施した電車も運行しました。乗る楽しみもぜひ味わっていただきたいです。』(長塚さん)

その一方で、近年はシェアサイクルサービス「SHONAN PEDAL」も手がけていらっしゃいますね。観光で自転車を使うと、どんな良いことが?

『鎌倉・湘南エリアには、駅からちょっと離れたところにも魅力的なお店や観光スポットがいくつもあります。そうしたところを巡るには自転車が便利です。また、鎌倉で自転車を借りて、海岸に沿って江の島へ向かうのも気持ちがいいですよ。海風を感じながら走り、目の前に雲ひとつない雄大な富士山が見えた時の爽快感は格別です。このエリアには大仏様や江の島といった一大観光スポットもありますが、皆さんそれぞれテーマを決めて、思い思いに散策を楽しむことができます。ぜひシェアサイクルも活用いただいて、いろいろなバリエーションの旅を満喫していただけたらと思います』(長塚さん)

なるほど!バリエーションで言うと、便利なきっぷもいろいろありますね。

『1日乗り放題に加えて沿線の多くの施設で特典を受けられる「のりおりくん」にはデジタル版もあります。また、新江ノ島水族館の入場券とセットになったきっぷなど、旅の目的に合わせて使い分けいただくのがおすすめですね」(長塚さん)

最後に一言、「旅したい」と思っている方に向けてメッセージをいただけますか?

『沿線の風景は、自然が美しいだけでなく、サーフィンやランニングを楽しむ地元の方々の姿も込みで"湘南の海"だなと実感しています。風景が常に動いているんですよね。その中で地元の方々も、観光客を温かく迎えてくれていると感じます。その良好な関係を当社も大切にして、"触れ合う旅"の提供をこれからもお手伝いできればと思っています』(長塚さん)

お話、ありがとうございました!冬には冬の魅力が詰まっている江ノ電沿線の旅。読者の皆さんもぜひお出かけください。
江ノ島電鉄株式会社:
詳細は駅すぱあと改訂情報をご覧ください。
次回2025年2月号は、2025年1月29日(水)配信予定です。お楽しみに!
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発行日 2024年12月18日(水)
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