瀬戸内海に浮かぶ小豆島。その島内に広がる国立公園「寒霞渓(かんかけい)」は、古くから風光明媚な地として知られていました。馬や籠もあったものの、観光に訪れる庶民の大半はもっぱら登山。昭和30年頃に「ロープウェイか、ドライブウェイか」で投票が行われ、1票差でロープウェイが採用されたのだとか。以来、日本で唯一"海・空・渓谷"が一度に眺望できるロープウェイとして多くの観光客が訪れています。
『寒霞渓は、約1300万年前の火山活動によってできた奇岩と崖地がごつごつと連なる渓谷です。長年の歳月をかけて、岩と岩の間から植物が生い茂っています。岩肌が灰色のトーンですので春は山桜、秋は紅葉がくっきりと引き立ちますね。紅葉のシーズンは例年11月上旬から下旬にかけてで、色づきが遅めの年は12月上旬までお楽しみいただけます。標高差があるので紅葉の見頃も長めです。なお定員40名のゴンドラで約5分間の空中散歩ができる一方で、登山道も整備されています。小学校3、4年生の遠足でも利用される緩やかな「表12景登山道」と、表よりもやや険しい「裏8景登山道」、さらに島の最高峰である星ヶ城への登山道もあります。健脚な方は行きと帰りのどちらかで登山道を利用して、奇岩を近くから眺めつつ歩いてみるのもおすすめですよ』(三浦さん)
紅葉の写真は圧巻の一言ですね!ロープウェイの山頂駅周辺にも見どころはありますか?
『展望台が複数ありまして、鳴門のほうまで瀬戸内海を見渡すことができます。お天気が良いと淡路島が見えることもありますよ。瀬戸内国際芸術祭に出品されたアート作品「空の玉/寒霞渓」も遊歩道に展示されていて、作品そのものが見晴台になっています。その他、的に入れば御利益があるとされている「かわらけ投げ」のような昔ながらのものから、ハート形の松の木を背景としたフォトスポット「ハート松ベンチ」など楽しみどころが豊富です。軽食コーナーもありまして、もみじ葉エキスをふんだんに使った「もみじサイダー」や、ご当地のブランド牛を使用した「オリーブ牛コロッケバーガー」などが人気です』(三浦さん)
これから本格的な秋を迎えるにあたり、寒霞渓はもちろん小豆島全体でも見どころが増えそうですね。
『「小豆島」という名前の印象からか、小さな島だと思っている方もいらっしゃるのですが、自転車で島を一周するのは至難の業です。ギリシャ風車の前でほうきにまたがり、ジャンプして撮る写真が人気の「小豆島オリーブ公園」や、潮の満ち引きによって道が現れる「エンジェルロード」など、フォトジェニックなスポットが島内には目白押しですので、ぜひお越しいただきたいですね。島のゆったりとした雰囲気や人びとのおもてなし心も感じていただけたら嬉しいです。なお寒霞渓ロープウェイでは11月3日(日・祝)に、紅葉が始まったデッキの特等席で、抹茶とオリーブ饅頭を振舞う「寒霞渓もみじ茶会」を開催します。日本で最初の国定公園に指定されてから今年で90周年の節目を迎え、これからも魅力を発信し続けていきたいと思っています』(三浦さん)
お話ありがとうございました!皆さんもぜひ、紅葉に染まる寒霞渓の絶景を楽しむ旅へお出かけください。