「駅すぱあとアンテナ」2024年11月号 「本好きが巡る旅」

 
読書の秋ということで、今月のテーマは"本"。壮大な図書館やミュージアム、ブックホテルなど、本と触れ合う旅に出かけてみませんか。

本好きが巡る旅、まず最初は「一度行ってみたい」と思わせてくれる図書館からご紹介しましょう。2022年7月、石川県金沢市に開館した石川県立図書館です。

図書館といえば本の貸し出しが基本ですが、蔵書約110万冊の同館は貸し出しだけでなく、イベントやワークショップ、デジタルアートやものづくり体験などができる複合的な"知"の施設。館内に入るやいなや、4層吹き抜けの巨大な円形空間に本がズラリと並び、その迫力に圧倒されます。本は「身体を動かす」など身近な12のテーマでカテゴリー分けされており、回廊式の閲覧空間「リング」や、生物や文化の多様性に関する蔵書を集めた「里の恵み・文化の香り~石川コレクション~」、階段状のフリースペース「だんだん広場」など、独自の空間が広がっています。

また、吹き抜け空間に架けられた「ブリッジ」を含め、個性的な椅子が100種類以上、約500席用意されています。旅行で訪れた場合、心地よい空間に身を置いて"ちょっと読み"できるのは嬉しいところ。お気に入りのスポットを見つけて、しばし読書に耽りたいものです。

続いてご紹介するのは、本にまつわるミュージアム。埼玉県所沢市にある角川武蔵野ミュージアムです。2020年にオープンし、図書館と美術館、博物館が融合した、世界でも珍しい文化複合施設となっています。

館内には約3万5千冊の書籍を所蔵した「マンガ・ラノベ図書館」や、アニメの世界が凝縮された「EJアニメミュージアム」、"街"のような図書空間に独自のカテゴライズで約2万5千冊の本が並ぶ「エディットタウン―ブックストリート」、荒俣宏氏が監修した「荒俣ワンダー秘宝館」など、趣向を凝らした空間が広がっています。中でも圧巻なのは「本棚劇場」。約8mの巨大本棚に囲まれた空間で、定期的に「本と遊び、本と交わる」をコンセプトとしたプロジェクションマッピングが上映されます。 本好きの方でなくても、驚きと発見に満ち溢れた図書館やミュージアム。ぜひ出かけてみてはいかがですか。
石川県立図書館
角川武蔵野ミュージアム

続いてご紹介するのは、近年注目を集めているブックホテル。ホテルといえば観光地での宿泊というイメージがありますが、本をテーマにしたブックホテルの場合は、ホテルの心地よい空間で読書して過ごすことをひとつのコンセプトにしている傾向があります。

温泉地・箱根の中強羅駅が最寄りの「箱根本箱」は、そんなブックホテルのひとつ。"本と人との出会い""本のある暮らし"をコンセプトに掲げ、読書好きな方はもちろん、普段あまり本を買わない方や、読書がご無沙汰という方にも"出会い"を提供しています。

新刊と古書、洋書を合わせて約1万2千冊の本がラウンジをはじめ至るところに散りばめられており、それぞれの客室には"あの人の本箱"が備わっています。各界の第一線で活躍する方々が選書を担当し、どの部屋に誰の本箱があるかは訪れてからのお楽しみ。同じ本箱がずっと同じ部屋にあるとも限りません。また、本を単なるインテリアとして捉えないことから、館内すべての本が購入できるようになっています。

客室には本箱だけでなく全室に温泉露天風呂も完備。読書に疲れたら温泉に浸かり、レストランでオーガニックなイタリアンを楽しみ、「本箱シアター」と名付けられたシアタールームで映像作品を鑑賞し、部屋に戻ってまた読書にいそしむ。知的で贅沢な大人の時間を満喫できそうです。

もうひとつご紹介するブックホテルは「泊まれる図書館・暁(あかつき)」。佐賀県の山間の温泉地、古湯温泉の路地裏にひっそりと佇む築110年の古民家を改装してオープンしました。

蔵書は約1400冊。九州の本好きの方々が「自宅の本棚にずっと置いておきたい本BEST20」として選びました。小説に限らず絵本、写真集、漫画、詩集、雑誌などもあってバリエーションも豊か。「なぜその本を大事にしているか」といった理由もそれぞれ添えられています。一般的なカテゴリーではなく選者ごとに棚に収められているので、お気に入りの棚を見つける楽しみもあります。

なお宿泊は1日1組限定です。オプションで朝食や夕食をつけることも可能。入浴設備がないため、古湯温泉街の立ち寄り湯「英龍温泉」の入浴券が宿泊者に提供されます。

古民家特有の落ち着いた雰囲気の中、畳にゴロンと寝そべって本を楽しみ、ふとんを敷いて本棚に囲まれて眠る1日。とても豊潤な時を過ごせそうです。
箱根本箱
泊まれる図書館・暁
瀬戸内海に浮かぶ小豆島。その島内に広がる国立公園「寒霞渓(かんかけい)」は、古くから風光明媚な地として知られていました。馬や籠もあったものの、観光に訪れる庶民の大半はもっぱら登山。昭和30年頃に「ロープウェイか、ドライブウェイか」で投票が行われ、1票差でロープウェイが採用されたのだとか。以来、日本で唯一"海・空・渓谷"が一度に眺望できるロープウェイとして多くの観光客が訪れています。

『寒霞渓は、約1300万年前の火山活動によってできた奇岩と崖地がごつごつと連なる渓谷です。長年の歳月をかけて、岩と岩の間から植物が生い茂っています。岩肌が灰色のトーンですので春は山桜、秋は紅葉がくっきりと引き立ちますね。紅葉のシーズンは例年11月上旬から下旬にかけてで、色づきが遅めの年は12月上旬までお楽しみいただけます。標高差があるので紅葉の見頃も長めです。なお定員40名のゴンドラで約5分間の空中散歩ができる一方で、登山道も整備されています。小学校3、4年生の遠足でも利用される緩やかな「表12景登山道」と、表よりもやや険しい「裏8景登山道」、さらに島の最高峰である星ヶ城への登山道もあります。健脚な方は行きと帰りのどちらかで登山道を利用して、奇岩を近くから眺めつつ歩いてみるのもおすすめですよ』(三浦さん)

紅葉の写真は圧巻の一言ですね!ロープウェイの山頂駅周辺にも見どころはありますか?

『展望台が複数ありまして、鳴門のほうまで瀬戸内海を見渡すことができます。お天気が良いと淡路島が見えることもありますよ。瀬戸内国際芸術祭に出品されたアート作品「空の玉/寒霞渓」も遊歩道に展示されていて、作品そのものが見晴台になっています。その他、的に入れば御利益があるとされている「かわらけ投げ」のような昔ながらのものから、ハート形の松の木を背景としたフォトスポット「ハート松ベンチ」など楽しみどころが豊富です。軽食コーナーもありまして、もみじ葉エキスをふんだんに使った「もみじサイダー」や、ご当地のブランド牛を使用した「オリーブ牛コロッケバーガー」などが人気です』(三浦さん)

これから本格的な秋を迎えるにあたり、寒霞渓はもちろん小豆島全体でも見どころが増えそうですね。

『「小豆島」という名前の印象からか、小さな島だと思っている方もいらっしゃるのですが、自転車で島を一周するのは至難の業です。ギリシャ風車の前でほうきにまたがり、ジャンプして撮る写真が人気の「小豆島オリーブ公園」や、潮の満ち引きによって道が現れる「エンジェルロード」など、フォトジェニックなスポットが島内には目白押しですので、ぜひお越しいただきたいですね。島のゆったりとした雰囲気や人びとのおもてなし心も感じていただけたら嬉しいです。なお寒霞渓ロープウェイでは11月3日(日・祝)に、紅葉が始まったデッキの特等席で、抹茶とオリーブ饅頭を振舞う「寒霞渓もみじ茶会」を開催します。日本で最初の国定公園に指定されてから今年で90周年の節目を迎え、これからも魅力を発信し続けていきたいと思っています』(三浦さん)

お話ありがとうございました!皆さんもぜひ、紅葉に染まる寒霞渓の絶景を楽しむ旅へお出かけください。
寒霞渓ロープウェイ:
詳細につきましては、「駅すぱあと」サポートサイトよりご確認ください。
何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
詳細は駅すぱあと改訂情報をご覧ください。
次回2024年12月号は、2024年11月27日(水)配信予定です。お楽しみに!
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発行日 2024年10月30日(水)
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