「駅すぱあとアンテナ」2025年6月号 「一本道の美」





 
どこまでもまっすぐ続く、一本の道。大自然や参道、橋など、単なる移動経路でありながら、心が晴れるような気持ちになる一本道を今月はご紹介します。

ダイナミックな一本道が多い地域は、北海道です。その中からまずご紹介したいのは、世界遺産・知床半島の玄関口、JR知床斜里駅から約15分の距離にある「天に続く道」です。

「北海道 感動の瞬間(とき)100選」にも選ばれているこの道は、国道244号と国道344号からなる約28.1mの直線道路。アップダウンがあるため、高い位置から見下ろすと、はるか地平線の向こう、すなわち空まで続いているように見えることからその名がつきました。

道の両側には木々の緑と田畑、そして家々が点在。丘の頂上近くにある「名も無き展望台」からはオホーツク海や知床の山々など美しい風景を眺めることができます。春分の日と秋分の日頃には道の延長線上に夕日が沈み、北海道ならではのスケールの大きい絶景が広がります。

これからの季節は知床の観光シーズンも本格化。川から湯が湧き出る温泉ファン憧れの「カムイワッカ湯の滝」の滝のぼりレジャーも7月から始まり、知床の自然を満喫するガイドツアーも人気です。6月下旬から7月上旬にかけては、海岸線や原生花園で『知床旅情』の歌詞でお馴染みのハマナスの花が開花します。

続いては、同じ北海道でも"街中の一本道"をご紹介しましょう。札幌の中心に伸びる大通公園なども一本道ではありますが、今回おすすめしたいのは函館の八幡坂です。

函館市西部地区にある八幡坂は、坂の上から函館の街や港が一望できる絶好のロケーション。西洋文化を感じさせる街灯や街路樹、石畳が海まで続いています。途中で函館市電の線路が横切っているため、坂の途中で待っていれば市電が通る姿を見ることもできます。

ちなみに夜の景観も素晴らしく、きらびやかな街灯りはもちろん、初夏は海霧が出る日も多く、幻想的な"夜霧の一本道"に遭遇できるチャンスも。函館の象徴といえる風景をぜひお楽しみください。
天に続く道(知床斜里町観光協会)
八幡坂(函館市公式観光サイト)

次にご紹介する一本道の舞台は福岡県福津(ふくつ)市。福岡市と北九州市の中間に位置する、海に面した街です。

気になる一本道は、参道。ご存じのとおり寺社仏閣への入り口となる参道は一本道のケースが一般的ですが、高低差があるとまっすぐ伸びた道を見下ろすことができ、さらにそれが延々と続いているとダイナミックな風景が生まれます。右の写真は福津市にある宮地嶽(みやじだけ)神社の参道です。鳥居からはるか玄界灘まで、約800mにわたる一本道が続いています。

宮地嶽神社は約1700年前に創建された古社で、日本一大きいと称される大注連縄、大太鼓、大鈴でも有名。初詣シーズンはもちろん、一年を通じて多くの参拝客がお参りに訪れます。9月の例大祭では、この参道を御神幸行列が牛車で往復。さらに2月下旬と10月下旬、年2日のみ一本道に重なるようにして太陽が沈むため、同神社の参道は"光の道"と呼ばれています。その神々しさは言葉にできないほどです。

なお、一本道が行き着く白砂のビーチは、近年SNSで話題となりました。「大潮」「干潮」「無風」という条件が重なった時のみ、波打ち際が鏡のように空を反射することから"かがみの海"と呼ばれています。光の道と併せて体験できればラッキーです。

最後にご紹介するのは、沖縄県の那覇から車で北へ約1時間半、国頭郡今帰仁村に属する古宇利(こうり)島。ご覧のとおり"橋で渡れる離島"です。

全長1,960mの古宇利大橋が出来たのは2005年のこと。広大なエメラルドグリーンの海の上にまっすぐ伸びた橋は、ただ渡っているだけで爽快。海の上を滑っているような気分を味わえます。また歩道もあるため、のんびり歩いて渡ることも可能です。

島内にはハートの形をした奇岩「ハートロック」や、世界中の貝を集めた「シェルミュージアム」など、この地ならではの名所が点在。近年はオシャレなカフェやショップの出店も相次いでいます。といっても小さな島のため、約3時間もあればくまなく島内を観光できるでしょう。沖縄を訪れる機会があれば、ぜひ足を運んでみてはいかがですか。
宮地嶽神社
古宇利島
1965年、鹿島参宮鉄道と常総筑波鉄道が合併して誕生した関東鉄道。茨城県取手駅と下館駅間を結ぶ常総線と、佐貫駅と竜ヶ崎駅を結ぶ竜ヶ崎線の鉄道2路線に加えてバス路線も有し、地域の方々や観光客の足として機能しています。さっそくですが、沿線のおすすめ観光スポットを教えてください。

『まずは、常総線の大宝駅から程近い距離にある大宝八幡宮です。"関東最古の八幡神社"と言われていて、一年を通じて多くの方々がお参りに訪れています。特にこれからの季節がおすすめでして、同八幡宮のあじさい神苑では6月下旬から7月上旬にかけて「あじさい祭り」が催されます。約300種、約4,000株を超えるあじさいが色鮮やかに咲いて、梅雨の時期に彩りを添えてくれます。もうひとつのおすすめスポットは、常総線下妻駅から下妻市コミュニティバスでアクセスできる砂沼広域公園です。砂沼には約6kmの遊歩道が整備されていて、景色を楽しみながら散策したり、サイクリングやジョギングを楽しむこともできます。5月下旬から6月中旬にかけては、同公園の広大な菖蒲園でハナショウブが見頃を迎えますよ』(高橋さん)

これからの時期にピッタリですね。一方で、鉄道ファンにとって関東鉄道さんは気動車が活躍している路線として知られています。どんな車両が人気ですか?

『古い車両が人気で竜ヶ崎線ですとキハ532形気動車ですね。旅客列車としては日本で初めてワンマン運転を行った竜ヶ崎線用の車両で、1981年に製造されました。現在は毎週土曜日に竜ヶ崎線で運行しています。一方、常総線では平日の通勤・通学のみの運行となっているキハ0形気動車が人気の車両で、1982年~1983年に製造されました。最近の車両ですと復刻塗装としてクリーム色と朱色のツートンカラーで運行しているキハ2400形の2両が人気で、昭和時代のノスタルジックな雰囲気を感じ取る方も多いようです。また、毎月第二日曜日には気動車の体験運転会も実施しています。初級、中級と2バージョンあり、キハ0形もしくはキハ2300形を運転できるとあって好評いただいていますね』(高橋さん)

気動車の体験運転会は貴重ですね!他にはどのようなイベントを催していますか?

『特徴のあるイベントでは「夜行列車」も好評でした。素朴なロングシートで寝るだけですが、昭和の寝台列車を思い出し、「懐かしい!」というお声もたくさんいただきましたね。 また、今年は関東鉄道発足60周年ということで、様々なイベントを企画しています。直近では好評の「ビール列車」を運行します。沿線には数社のビール工場があり、美味しい注ぎ方の講習をいただいたりと協力してもらっています。私たちはお客様に喜んでいただける"新企画"が好きでして、他社さんのイベントに参加して参考にしつつも、他ではやっていないことをやり、面白い関鉄にまた来てもらいたいという姿勢です。他にもまだまだ60周年のイベントを考えていますので、ご期待ください』(高橋さん)

楽しみです!最後に、関鉄の旅の醍醐味を教えてもらえますか?

『常総線は複線区間と単線区間でかなり景色が変わります。途中から筑波山が見え始め、広大な田んぼの中を気動車がのんびりと走ります。秋葉原駅から常総線守谷駅まで、つくばエクスプレス快速で約30分。気軽に田舎の雰囲気を味わいに来てほしいですね。街歩きを楽しみたい方は「常総線1日フリーきっぷ」や、ご当地グルメ「龍ヶ崎コロッケ」のお店の割引券が付いた竜ヶ崎線1日フリーきっぷ「竜鉄コロッケ☆フリーきっぷ」などをぜひご利用ください」(高橋さん)

お話、ありがとうございました!秋葉原駅から約30分で"非日常"の日帰りトリップが楽しめる関鉄の旅、ぜひ皆さんもお出かけください。
関東鉄道:
詳細は駅すぱあと改訂情報をご覧ください。
次回2025年7月号は、2025年6月25日(水)配信予定です。お楽しみに!
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発行日 2025年5月28日(水)
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