徳島県と高知県を結ぶ路線をDMV(デュアル・モード・ビークル)が走る阿佐海岸鉄道。線路と道路の両方を走ることが出来る乗り物が世界で初めて本格営業運行している地として注目を集め、「DMVに乗ること」を旅のひとつの目的として訪れる方も少なくありません。一体どのような経緯で導入に至ったのでしょうか?

『ひとつは観光も含めた地域の活性化です。学校の統廃合などで定期利用客が減少する中、世界初の車両そのものを観光資源として活用できればと考えました。車窓に広がる海岸の風景と同時に、DMVならではの乗車体験やモードインターチェンジと呼ぶ変形ポイントで「鉄道モード」と「バスモード」を切り替える様子なども、アトラクション感覚でお楽しみいただいています。もちろん、地域にお住いの方々の公共交通として機能することや、災害時に道路も線路も走れる柔軟性が防災面の強化につながるという側面も導入の背景にありました。いざ導入に向けて始動する際には、車両の開発はもとより、バス事業参入の手続きや鉄道とバス双方の免許を持つ人財確保など、会社そのものもデュアルモード化する必要がありましたね』(大谷さん)
実際に乗り心地を体感してみたいです!一方で、沿線にはどんな観光スポットがありますか?

『「道の駅 宍喰温泉」では地元の特産物やお土産が揃っており、隣接する「ホテルリビエラししくい」では日帰り温泉も楽しめます。「海洋自然博物館マリンジャム」もおすすめですね。ここでは国定公園に指定された竹ヶ島海域を遊覧する「海中観光船ブルーマリン号」に乗ることができます。船底から透き通った海の中を覗くと、珊瑚や熱帯魚などが観察できるとあってご家族連れにも人気です。また、夏場は東洋町の白浜海水浴場に四国最大級の海上アスレチック「ビーチホッピング」がオープンし、毎年大人気ですね。なお土日祝日はDMVの通常の運行ルートに加え、「海の駅東洋町」から室戸方面へ1日1往復運行しています。その道中には、廃校となった学校施設を再利用した「むろと廃校水族館」や、弘法大師ゆかりの地でもある「室戸岬」などがあります。室戸岬は世界ジオパークに認定されていて、散策路も整備されていますよ』(大谷さん)
ありがとうございます。DMVやバスを利用して、徳島から高知へ向かう方もいらっしゃいますか?

『はい。実際に「どうやって乗り継げばいいの?」というお問合せも多く寄せられています。土日祝日でしたら、DMVで「海の駅とろむ」方面へアクセスし、お好みの目的地から高知東部交通さんの路線バスで奈半利駅に向かうと、オープンデッキ型観光列車も運行している土佐くろしお鉄道さんにアクセスできます。他にも四国には多種多彩な観光列車が走っていますので、それらを乗り継ぐ旅もおすすめですよ』(大谷さん)
観光に便利なきっぷなどはありますか?
『当社をはじめ複数の公共交通機関で利用できて、連続3日間乗り降り自由の「四国みぎした55フリーきっぷ」がお得で便利です。このエリアは四季を通じて美味しい海産物も楽しめますし、風光明媚な自然も魅力です。ぜひ一度、DMVの乗車体験を兼ねてお越しいただきたいですね』(大谷さん)
お話、ありがとうございました!太平洋を眺めながら楽しむDMVの旅、ぜひ読者の皆さんも計画を立ててお出かけください。