「駅すぱあとアンテナ」2025年2月号 「冬の旅路の食卓」

 
 
冬の旅の醍醐味といえば、旬の味覚。今月は、朝市散策や釣り、グルメ祭りなど観光を楽しみつつ、その地ならではの味覚を満喫できるスポットをご紹介します。

海産物の宝庫、玄界灘に面する佐賀県唐津市呼子町(よぶこちょう)。この町は古くから"イカの町"として知られてきました。

近年、北海道の函館や北陸などで、スルメイカの不漁が続いています。その中で呼子のイカは、冬がアオリイカやヤリイカ、春から秋にかけてはケンサキイカが多く水揚げされ、一年を通じて様々な種類のイカを味わうことができます。

街の至るところで見かけるのは、イカを天日干しする風景。そして必ず訪れたいのが「呼子の朝市」です。江戸時代、この地を舞台に、鯨肉や鮮魚と農作物の物々交換が行われていたのがルーツといわれ、石川県の輪島、千葉県の勝浦、岐阜県の高山と並び、日本四大朝市のひとつに数えられています。

朝市の休みは一年を通じて元旦のみ。

商店街の軒先の店舗にはイカをはじめ採れたての鮮魚が並んでいます。イカ、アジ、カマスなど各店秘伝の味付けがなされた「さくら干し」もお土産として人気です。また、イカ焼きや素潜りで採れたウニやサザエなど、その場で食べられるものも揃っています。

街中にはイカ料理に舌鼓を打てる店が数多くあり、焼き物や煮物などメニューも多彩。中でも人気なのは「イカの活き造り」です。身が透き通るほど新鮮なイカの刺身は、他ではなかなか味わえない逸品。朝市の散策や「マリンパル呼子」にて運航している海中展望船や遊覧船など、観光とグルメをぜひ両方満喫してください。

続いては国内屈指の高原リゾートに数えられる、福島県の裏磐梯。「ミシュラン・グリーンガイド」で1つ星に認定されている五色沼湖沼群など、大自然の中に300以上もの湖・池・沼が点在しています。

その中で最も大きい桧原湖(ひばらこ)は、冬にワカサギ釣りを楽しむ人々で賑わいます。桧原湖のワカサギは、その美味しさや美しいフォルムから高値で取引され、東京の高級料亭で取り扱われるほど。その釣りは魚だけでなく「寒さとの戦い」だと思われがちですが、裏磐梯では季節や業者に応じて屋形船やドーム船、ワカサギ釣り専用ハウスなど、ストーブなどで暖を取りながら釣りを楽しめる施設が充実しています。

釣りの期間は3月下旬まで。ただし例年12月下旬から1月中旬は結氷期間につき休止しており、氷上釣りは例年1月下旬からのスタートです。おすすめは、自ら釣ったワカサギを天ぷらや唐揚げにしてくれる初心者体験プラン。ご当地名物の会津山塩でいただくと、鮮度も相まって絶品です!
呼子朝市ガイドマップ
裏磐梯のワカサギ釣り(裏磐梯観光協会)

次なる旅の舞台は瀬戸内海。穏やかで美しい景色が広がりつつも、渦潮のように流れが急な地域もあり、身が引き締まった魚がふんだんに獲れる格好の漁場でもあります。

今回ご紹介するのは、牡蠣。冬になると沿岸各地で牡蠣まつりが開催されています。おすすめは。有名な牡蠣の産地として知られている岡山県の日生(ひなせ)エリア。採れたての牡蠣がズラリと並ぶ「五味の市」に、冬場の牡蠣シーズンにはバーベキューを楽しめる「海の駅しおじ」、牡蠣入りお好み焼き「カキオコ」は地元でも人気のB級グルメです。

日生の牡蠣が最も美味しくなるといわれている2月には、かき祭りを開催。2025年の開催日は2月23日(日)です。 「五味の市会場」では、牡蠣の販売をはじめ牡蠣汁、牡蠣フライ等の販売が行われる他、小学生以下限定の「牡蠣のバケツ詰め放題」も。「頭島会場」では焼き牡蠣コーナー、牡蠣販売や各種イベント、ワークショップが行われる予定です。また、日生運動公園会場スポーツ広場は特別価格の牡蠣販売ドライブスルーが行われます。お祭りの活気と美味しい牡蠣を堪能して、寒さを吹き飛ばしましょう!

最後に紹介する「旅路の食卓」は兵庫県、丹波篠山のぼたん鍋。近年は冷凍技術の進歩によって一年を通じて楽しめますが、やはり旬は冬です。

丹波篠山は丹波栗や黒豆、松茸、山の芋など、ブランド化するほど味覚に定評がある"山の幸"が豊富なエリア。これらを食べるのは人間だけではありません。

この地に生きる動物にとっても格好の好物で、これらを食べて育ったイノシシの肉、通称「ぼたん」はクセがなく滋味豊か。白菜やネギ、キノコなど新鮮な地物野菜と一緒に煮込むぼたん鍋は、丹波篠山が発祥と言われています。

明治の頃、陸軍歩兵部隊が滋養食として丹波の山で獲れたイノシシの肉を味噌汁として食べ、その美味しさに驚き、言い広まったのだとか。今では市内約40店舗で食べられるぼたん鍋は、文化庁が認定する「100年フード」に選ばれています。味噌で仕立て、兵庫県北部の名産品である山椒をきかせつつ食べる冬の滋養。ぜひ現地へお出かけください。
ひなせかき祭り(日生町漁業協同組合)
丹波篠山ぼたん鍋ガイド(ぐるり!丹波篠山)
徳島県と高知県を結ぶ路線をDMV(デュアル・モード・ビークル)が走る阿佐海岸鉄道。線路と道路の両方を走ることが出来る乗り物が世界で初めて本格営業運行している地として注目を集め、「DMVに乗ること」を旅のひとつの目的として訪れる方も少なくありません。一体どのような経緯で導入に至ったのでしょうか?

『ひとつは観光も含めた地域の活性化です。学校の統廃合などで定期利用客が減少する中、世界初の車両そのものを観光資源として活用できればと考えました。車窓に広がる海岸の風景と同時に、DMVならではの乗車体験やモードインターチェンジと呼ぶ変形ポイントで「鉄道モード」と「バスモード」を切り替える様子なども、アトラクション感覚でお楽しみいただいています。もちろん、地域にお住いの方々の公共交通として機能することや、災害時に道路も線路も走れる柔軟性が防災面の強化につながるという側面も導入の背景にありました。いざ導入に向けて始動する際には、車両の開発はもとより、バス事業参入の手続きや鉄道とバス双方の免許を持つ人財確保など、会社そのものもデュアルモード化する必要がありましたね』(大谷さん)

実際に乗り心地を体感してみたいです!一方で、沿線にはどんな観光スポットがありますか?

『「道の駅 宍喰温泉」では地元の特産物やお土産が揃っており、隣接する「ホテルリビエラししくい」では日帰り温泉も楽しめます。「海洋自然博物館マリンジャム」もおすすめですね。ここでは国定公園に指定された竹ヶ島海域を遊覧する「海中観光船ブルーマリン号」に乗ることができます。船底から透き通った海の中を覗くと、珊瑚や熱帯魚などが観察できるとあってご家族連れにも人気です。また、夏場は東洋町の白浜海水浴場に四国最大級の海上アスレチック「ビーチホッピング」がオープンし、毎年大人気ですね。なお土日祝日はDMVの通常の運行ルートに加え、「海の駅東洋町」から室戸方面へ1日1往復運行しています。その道中には、廃校となった学校施設を再利用した「むろと廃校水族館」や、弘法大師ゆかりの地でもある「室戸岬」などがあります。室戸岬は世界ジオパークに認定されていて、散策路も整備されていますよ』(大谷さん)

ありがとうございます。DMVやバスを利用して、徳島から高知へ向かう方もいらっしゃいますか?

『はい。実際に「どうやって乗り継げばいいの?」というお問合せも多く寄せられています。土日祝日でしたら、DMVで「海の駅とろむ」方面へアクセスし、お好みの目的地から高知東部交通さんの路線バスで奈半利駅に向かうと、オープンデッキ型観光列車も運行している土佐くろしお鉄道さんにアクセスできます。他にも四国には多種多彩な観光列車が走っていますので、それらを乗り継ぐ旅もおすすめですよ』(大谷さん)

観光に便利なきっぷなどはありますか?

『当社をはじめ複数の公共交通機関で利用できて、連続3日間乗り降り自由の「四国みぎした55フリーきっぷ」がお得で便利です。このエリアは四季を通じて美味しい海産物も楽しめますし、風光明媚な自然も魅力です。ぜひ一度、DMVの乗車体験を兼ねてお越しいただきたいですね』(大谷さん)

お話、ありがとうございました!太平洋を眺めながら楽しむDMVの旅、ぜひ読者の皆さんも計画を立ててお出かけください。
阿佐海岸鉄道株式会社:
詳細は駅すぱあと改訂情報をご覧ください。
次回2025年3月号は、2025年2月26日(水)配信予定です。お楽しみに!
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発行日 2025年1月29日(水)
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