「駅すぱあとアンテナ」」2024年12月号 「冬に現れる村」

 
 
今月は、冬限定で出現する"村"にフォーカス。日本古来のかまくらや氷のドームなど、雪や氷によって造られる幻想的な空間の数々をご紹介します。

"北の大地"と称するにふさわしい北海道の十勝平野。その北部、十勝平野を一望できる鹿追町(しかおいちょう)にある湖が、然別(しかりべつ)湖です。大雪山国立公園に位置し、道内で最も標高が高い場所にあるため"天空の湖"とも呼ばれています。

その湖が氷に閉ざされる冬。湖上には幻の村「しかりべつ湖コタン」が現れます。「コタン」とはアイヌ語で「村」の意味。2025年は1月25日(土)から3月16日(日)までの期間、湖上には氷と雪でつくられた建物がいくつも現れます。

中でも注目したいのは、世界唯一を謳う「氷上足湯」と「氷上露天風呂」。源泉からパイプラインで運ばれる湯は交じりっ気なしの温泉です。雪原と化した然別湖の絶景を眺めながら、ゆったりと湯を満喫することができます。さらには氷の建物を用いたスタイリッシュなBARもオープン。グラスも氷で出来ている念の入れようで、グラス作りのアクティビティに参加すれば自ら作ったグラスを持ち込むことも可能です。

その他、スノーシューを履いたガイドツアーやスノーモービル、極寒地用のシュラフ (寝袋)を使用して 雪と氷のベッドの上で眠るアイスロッジまで、なかなか他ではできない体験アクティビティが満載です。

同じく北海道の勇払郡占冠村中トマムにある「星野リゾート・トマム」でも、2024年12月10日(火)から2025年3月14日(金)までの期間に幻想的な氷の街「アイスヴィレッジ」が出現予定です。

氷のドームが立ち並び、それぞれBAR、パーラー、ブティック、雑貨店、さらには「氷のラーメン店」まで出現。

滑り台やスケートリンクなどお楽しみ要素も備わっています。街の中心部に広がる「氷の広場」では、暖炉を囲みながら氷のベンチに座り、のんびりとくつろぐことも。継ぎ目のない一枚氷で造られたドームは「氷のホテル」として利用され、シュラフで温かく眠りにつくことができます。同じく一枚氷で造られた「氷の教会」は、祭壇や十字架、椅子やバージンロードすべてが氷と雪で出来ていて、見学することも可能です。

氷と雪が織りなす村や街を、ぜひ一度ご体験ください。
しかりべつ湖コタン(北海道公式観光サイト)
星野リゾート トマム/アイスヴィレッジ

長野県の北東部、信州・飯山は日本有数の豪雪地帯。冬になると市街地で約120cm、山間部では3mを超える雪が降り積もります。この地に冬季限定で出現するのが「かまくらの里」です。

北陸新幹線の飯山駅から車で約15分の雪原に、例年1月下旬から2月下旬までの約1か月間、雪で作られた「かまくら」が20基あまり出現します。

かつてはスキー場でしたが、2001年に閉鎖されて以降、かまくらを観光資源として活用。現在は海外からの観光客を含め、多くの人びとが訪れるようになりました。

多くの人のお目当ては「レストランかまくら村」。かまくらの中で、白菜やキノコなど地元で採れた野菜と豚肉をふんだんに入れた、信州味噌仕立てのご当地鍋「のろし鍋」を食すことができます。その名前は、戦国時代に黒岩山で陣を張った上杉謙信の「のろし台」が由来なのだそう。意外と温かいかまくらの中で囲む鍋と、飯山産コシヒカリを使ったおにぎりは絶品の一言。かなりの人気ゆえ、事前予約は必須です。

他にもそり遊びをはじめ、雪上車やスノーモービルの乗車体験なども楽しめます。かまくら村を堪能した後は、車で15分程度の戸狩温泉や斑尾高原に泊まり、温泉やスキーを楽しむ旅もおすすめです。

続いてご紹介するのは、北アルプスや乗鞍岳などの山々に囲まれた、岐阜県の奥飛騨温泉郷。このエリアに位置する中尾高原でも、冬限定でかまくらが複数登場します。2025年2月1日(土)から2月10日(月)にかけて「中尾かまくらまつり」が開催されます。

舞台は新穂高温泉にある中尾白山神社の境内。開催時間は夜の20時からの1時間で、たいまつやローソクの灯りがかまくらを照らします。日によっては獅子舞も登場し、神社の厳かな雰囲気と相まって幻想的な雰囲気に。厳しい寒さの中で、どこか心温まる風情が漂います。

なお奥飛騨温泉郷では、冬のライトアップが各地で行われています。新平湯温泉では名所「タルマの滝」がライトアップされ、砂防ダムトンネル内には数万球のLEDによるイルミネーションが輝きます。福地温泉では、岩から滴り落ちる水が凍りついた「青だる」をライトアップ。平湯温泉では「日本の滝百選」にも選ばれている平湯大滝がライトアップされます。冬限定の楽しみを巡る旅も楽しそうです。
信州いいやま かまくらの里
新穂高温泉・中尾かまくらまつり(奥飛騨冬物語)
岐阜県大垣市の大垣駅から、同県本巣市の樽見駅を結ぶ樽見鉄道。34.5kmの距離を約60分かけてのんびり走る列車は地元の方々の貴重な足であると同時に、沿線の見どころを訪ねる観光客からも大人気。季節のイベント列車や運転体験など、ローカル線の旅の"ワクワク"がギュッと詰まっています。まずは沿線のおすすめ観光スポットから教えてもらえますか?

『沿線で最も有名なのは、"日本三大桜"のひとつに数えられる根尾谷淡墨ザクラですね。樹齢1500年を超える一本桜で、開花シーズンには1日約8,000人の方がお越しになります。ちょうど今頃の季節ですと、谷汲口(たにぐみぐち)駅からアクセスできる華厳寺(けごんじ)がおすすめですね。延暦17年に創建された古刹で、「西国三十三所巡礼」の33番目の寺としても知られています。例年11月中旬から12月上旬にかけては、境内の木々が色づいて美しい風景を作り出しています。駅から華厳寺まで揖斐川町コミュニティバスを利用すると便利ですよ。また、そこから少し足を伸ばした地にある横蔵寺(よこくらじ)も紅葉の名所であると同時に、国の重要文化財や絵画・書籍を所蔵されていて"美濃の正倉院"と呼ばれています。山間の静けさの中でぜひ紅葉狩りを楽しんでいただき、帰りには日帰り入浴施設「根尾川谷汲温泉」にもお立ち寄りください』(河瀬さん)

山間の古刹に紅葉が映えますね!一方で、鉄道ファンに人気のスポットはどこでしょうか?

まずは日当(ひなた)駅。満開の桜に包まれる春はもちろん、ローカル線の情緒あふれる無人駅なので1年を通じて撮影に訪れる方が多くいらっしゃいます。個人的には本巣駅も推したいですね。構内が広くて、複数の線路の真ん中を列車が走ってくる姿を跨線橋の上から眺められます。あとおすすめなのは団体でお申込みいただける運転体験。300mの距離を数回往復するプランも可能ですので、"だんだん運転が上手くなる"実感を得られると好評ですね。除雪車の乗車体験イベントも行ってまして、「停車している除雪車に乗る体験はあるけれど、動いている除雪車に乗れる機会は珍しい」と、こちらも好評ですね。お客様を乗せる前提の車両ではないので、「音や揺れがすごくてジェットコースターみたい!」と逆に喜んでいただけることもあります。さすがに除雪車の運転はできませんが、車庫見学や気動車の洗車体験も込みになっています』(河瀬さん)

動く除雪車に乗れる機会は貴重ですね。あと"乗り鉄"としての楽しみも教えてください。

『観光列車「ねおがわ」では、清流・根尾川に架かる根尾川橋梁などの一部で徐行運転をする場合もあります。定期列車としても運行していて、予約なしでいつでも普通運賃で乗車いただけますよ。その他、レトロからポップまで多彩な車両が走っていますのでぜひご注目ください。また、季節に応じたイベント列車も運行しています。春と秋に運行する「薬草列車」では里山の味覚が詰まったランチを楽しめますし、12月~2月にかけては「しし鍋列車」が運行します。私もアテンド役として乗車して、沿線紹介しているんですよ。参加されたお客様から「楽しかった!」と直接お声をいただいたり、感謝のお手紙をもらったこともあります。鉄道会社ならではのイベントに加え、春は桜、夏は鮎、秋は紅葉、冬はジビエと温泉を求めて、ぜひのんびりと樽見鉄道の旅を楽しんでほしいですね』(河瀬さん)

お話ありがとうございました!読者の皆さんも忙しい日常から抜け出して、ゆったり、のんびりの鉄道旅にぜひお出かけください。
樽見鉄道株式会社:
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次回2025年1月号は、2024年12月18日(水)配信予定です。お楽しみに!
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発行日 2024年11月27日(水)
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