岐阜県大垣市の大垣駅から、同県本巣市の樽見駅を結ぶ樽見鉄道。34.5kmの距離を約60分かけてのんびり走る列車は地元の方々の貴重な足であると同時に、沿線の見どころを訪ねる観光客からも大人気。季節のイベント列車や運転体験など、ローカル線の旅の"ワクワク"がギュッと詰まっています。まずは沿線のおすすめ観光スポットから教えてもらえますか?
『沿線で最も有名なのは、"日本三大桜"のひとつに数えられる根尾谷淡墨ザクラですね。樹齢1500年を超える一本桜で、開花シーズンには1日約8,000人の方がお越しになります。ちょうど今頃の季節ですと、谷汲口(たにぐみぐち)駅からアクセスできる華厳寺(けごんじ)がおすすめですね。延暦17年に創建された古刹で、「西国三十三所巡礼」の33番目の寺としても知られています。例年11月中旬から12月上旬にかけては、境内の木々が色づいて美しい風景を作り出しています。駅から華厳寺まで揖斐川町コミュニティバスを利用すると便利ですよ。また、そこから少し足を伸ばした地にある横蔵寺(よこくらじ)も紅葉の名所であると同時に、国の重要文化財や絵画・書籍を所蔵されていて"美濃の正倉院"と呼ばれています。山間の静けさの中でぜひ紅葉狩りを楽しんでいただき、帰りには日帰り入浴施設「根尾川谷汲温泉」にもお立ち寄りください』(河瀬さん)
山間の古刹に紅葉が映えますね!一方で、鉄道ファンに人気のスポットはどこでしょうか?
まずは日当(ひなた)駅。満開の桜に包まれる春はもちろん、ローカル線の情緒あふれる無人駅なので1年を通じて撮影に訪れる方が多くいらっしゃいます。個人的には本巣駅も推したいですね。構内が広くて、複数の線路の真ん中を列車が走ってくる姿を跨線橋の上から眺められます。あとおすすめなのは団体でお申込みいただける運転体験。300mの距離を数回往復するプランも可能ですので、"だんだん運転が上手くなる"実感を得られると好評ですね。除雪車の乗車体験イベントも行ってまして、「停車している除雪車に乗る体験はあるけれど、動いている除雪車に乗れる機会は珍しい」と、こちらも好評ですね。お客様を乗せる前提の車両ではないので、「音や揺れがすごくてジェットコースターみたい!」と逆に喜んでいただけることもあります。さすがに除雪車の運転はできませんが、車庫見学や気動車の洗車体験も込みになっています』(河瀬さん)
動く除雪車に乗れる機会は貴重ですね。あと"乗り鉄"としての楽しみも教えてください。
『観光列車「ねおがわ」では、清流・根尾川に架かる根尾川橋梁などの一部で徐行運転をする場合もあります。定期列車としても運行していて、予約なしでいつでも普通運賃で乗車いただけますよ。その他、レトロからポップまで多彩な車両が走っていますのでぜひご注目ください。また、季節に応じたイベント列車も運行しています。春と秋に運行する「薬草列車」では里山の味覚が詰まったランチを楽しめますし、12月~2月にかけては「しし鍋列車」が運行します。私もアテンド役として乗車して、沿線紹介しているんですよ。参加されたお客様から「楽しかった!」と直接お声をいただいたり、感謝のお手紙をもらったこともあります。鉄道会社ならではのイベントに加え、春は桜、夏は鮎、秋は紅葉、冬はジビエと温泉を求めて、ぜひのんびりと樽見鉄道の旅を楽しんでほしいですね』(河瀬さん)
お話ありがとうございました!読者の皆さんも忙しい日常から抜け出して、ゆったり、のんびりの鉄道旅にぜひお出かけください。