福岡県を拠点に、鉄道や路線バス事業を展開している西日本鉄道。鉄道は天神大牟田線、太宰府線、甘木線、貝塚線の4路線を運営し、長年にわたって"西鉄"の愛称と共に地域に親しまれてきました。名所巡りの貴重な足として、観光で訪れる方々にも利用されています。さっそく沿線のおすすめスポットを教えてもらえますか?

『有名どころとしては、太宰府天満宮と柳川の川下りですね。それぞれのアクセスには通常の運賃でご利用いただける観光列車が便利です。太宰府観光列車「旅人(たびと)」は太宰府の地で多くの歌を残したとされる歌人・大伴旅人が由来で、日本画の世界、和テイスト溢れる外装・内装をお楽しみいただけます。柳川観光列車「水都(すいと)」は、柳川の伝統行事や四季折々の花、武家文化などがモチーフになっていて、これから川下りへ向かう気分を盛り上げてくれますよ。乗車券と太宰府名物「梅ヶ枝餅」の引換券、クーポン特典割引がセットになった「太宰府散策きっぷ」や、乗車券と川下り乗船券がセットになった「太宰府・柳川観光きっぷ」もぜひご利用いただきたいですね。お得なので私もプライベートで活用しています(笑)』(平野さん)
観光列車とお得なきっぷはぜひ利用したいところですね。それと、初夏から夏にかけて色々なお祭りも沿線で催されるようですが。

『7月1日から7月15日にかけて「博多祇園山笠」が開催されます。絢爛豪華な飾り山笠が福岡の中心部各所に立ち並び、担いで街を練り歩く「かけまわし」やクライマックスの「追い山笠」がとてもダイナミックですよ。もうひとつ紹介すると、沿線の大牟田市で毎年7月下旬に開催される「おおむた大蛇山まつり」ですね。実は私は大牟田出身でして、よく参加しています。巨大な大蛇の飾りがつけられた「大蛇山」と呼ばれる山車が街を練り歩きます。大蛇が火煙を吐く姿も含めて勇壮ですね。子どもの無病息災の御利益もあると言われています。大牟田には世界文化遺産に登録されている「宮原坑」など近代産業の遺構や「石炭産業科学館」などもありますので、興味がある方はお祭りと同時に歴史散策も楽しんでいただきたいですね』(平野さん)
おおむた大蛇山まつり、興味津々です!さらに西鉄さんといえば、お食事を楽しめる列車「THE
RAIL KITCHEN
CHIKUGO」にも惹かれます。

『筑後の食材を中心に、九州各地の旬な食材をプラスしながら趣向を凝らしたお料理を、車内のキッチンで調理して提供しています。プラン(コース)は4つありますので、旅の行程に合わせて車窓を眺めながらのお食事を楽しんでいただきたいですね。この列車は2019年3月に運行を開始し、当時私は一便目の乗務を担当したのですが、デビュー当時は地域の方々になかなか認知されていない状況でした。その一方で沿線に保育園がありまして、電車が通るたびに園児たちが手を振ってくれていて。そこで電車も速度を落として、乗車しているお客様も手を振り返すといったやりとりが生まれました。ある時、園児の皆さんが卒園する際に「感謝を込めて招待しよう」となり、招待運行してお食事を楽しんでもらったんです。そんな地域とのつながりも生まれ、次第に「面白そう、乗ってみよう」と列車が認知されるようになりました』(平野さん)
気持ちがホッコリする、とてもいいお話ですね!最後に、西鉄沿線の観光の魅力を改めて教えていただけますか?
『博多はもちろん、柳川のうなぎ、大牟田のお好み焼き「高専ダゴ」やソウルフード「イカタル弁当」など、沿線には美味しいグルメがたくさんあります。沿線の風景は「絶景」というわけではありませんが、田園が広がっていく姿が私はとても好きです。お天気が良ければ矢部川付近で雲仙普賢岳を車窓から望むこともできます。ぜひのんびりと沿線の旅を楽しんでいただきたいですね』(平野さん)
お話、ありがとうございました!歴史情緒とお祭り、グルメを楽しむ西鉄の旅へ、ぜひ皆さんもお出かけください。