南信州の伊那谷エリアを拠点に、路線バスや高速バス、貸切バス事業を展開している伊那バス。地域住民の貴重な足であると同時に、中央アルプスと南アルプス双方へのアクセス手段として多くの観光客に利用されています。さっそく沿線のおすすめスポットから教えていただきましょう。

『まずは路線バス「駒ヶ岳ロープウェイ線」で行く中央アルプスの駒ヶ岳です。JR飯田線の駒ヶ根駅と、駒ヶ岳ロープウェイの起点となる「しらび平駅」を結んでいます。ロープウェイは高低差950mを約7分半で一気に上がり、降りるとそこは標高2,612mの「千畳敷カール」です。氷河時代に形成された半円状の窪地で、春は残雪と新緑、夏は高山植物、秋は早めの紅葉と、四季折々のダイナミックな風景が広がっています。ちなみにバスは、マイカーでお越しの方々のための駐車場がある「菅の台バスセンター」や、高速バスとの乗り換えに便利な「女体入口」でも停車しますので、鉄道以外の旅を楽しむ方にも最適ですよ。また、バスは険しい山道を走るため、車高の高いバスですと断崖絶壁を見下ろせるポイントも多々あり、ちょっとしたスリルも味わえますね』(柳澤さん)
千畳敷カールの絶景や高山植物をロープウェイで気軽に満喫できるところが大きな特徴ですね。一方で南アルプスへアクセスするバスもありますよね?

『はい。7・8月の夏季限定となりますが「南アルプス登山バス・鳥倉線」を運行しています。ご利用されるのは、南アルプスの中央に位置し、日本百名山のひとつにも数えられる標高3,052mの塩見岳へ登山する方々ですね。鳥倉登山口にアクセスしています。塩見岳は周囲に高い山がないため、山頂からは南アルプスの山々や富士山、さらに中央アルプスや遠く北アルプスまで望めます。塩見岳も駒ヶ岳も、存分に非日常を味わえるスポットといえますね』(柳澤さん)
どちらも一度は登ってみたい山です!高速バスでのアクセスも便利そうですね。
『高速バスと駒ヶ岳ロープェイ線、さらに往復のロープェイ運賃がセットになった切符をご利用になると支払いが1回で済みますので便利ですよ。この切符が使える高速バスは新宿、名古屋、京都・大阪から出ています。新宿~伊那線に導入中の、前列が広々としたSクラスシート(1便4席限定)を装備している車両ですと、よりゆったりと座れて快適ですよ。なお飯田・駒ヶ根・伊那と松本・長野を結ぶ高速バスもあり、こちらは観光で長野の名所を巡りたい方におすすめですね』(柳澤さん)
信州巡りの旅も良さそうですね。なお4月といえば桜ですが…

『当社のバスはアクセスしていないのですが、伊那市高遠町にある高遠城址公園の桜が有名ですね。実は私、歴史が好きなもので桜の時期は個人的にボランティアをしています。かつては城があったのですが、明治に入って「昔を偲ぶものを残すな」とお達しがあり、諸々壊されて廃墟になってしまいました。これではあまりに殺風景…と忸怩たる思いを抱えた昔の家来たちが「せめて桜を」と植えたのがこの地の桜のはじまりです。また、この地の名物に大根おろしの絞り汁と焼き味噌で食べる「高遠そば」というものがありますが、福島から来られた方が「ウチの地元にもある!」と。歴史を辿ると実は深いつながりがあったりして、各地から来られた方とそんな会話を交わして交流するのも楽しいですね』(柳澤さん)
それは面白いですね!最後に、伊那エリアの観光の魅力を一言!
『この地域は2つのアルプスに挟まれた"谷"ということで「伊那谷」と呼ばれています。登山やトレッキングをはじめ、豊かな湧き水や温泉、さらに伝統的な歌舞伎や祭りなどもあり、魅力が詰まっています。自然の中でゆったりとした時間を過ごされたい方は、ぜひお越しください』(柳澤さん)
お話、ありがとうございました。山に囲まれた自然と、豊かな歴史情緒を満喫する旅へ、読者の皆さんもぜひお出かけください。