「駅すぱあとアンテナ」2025年4月号 「小京都の桜」





 
桜のシーズン到来です。今年は大賑わいの京都を避け、あえて"小京都"と呼ばれる街で桜を楽しんでみませんか?京都に負けない歴史風情をぜひ感じてください。

まずは"みちのくの小京都"と呼ばれる秋田県仙北市の角館(かくのだて)。江戸時代から佐竹北家の城下町として栄えました。「火除(ひよけ)」と呼ばれる広場を中心に、北は武家屋敷、南は商人や職人が住む町割は、今もなお色濃く残っています。

しっとりとした歴史情緒が漂う街は一年を通じて多くの観光客が訪れますが、最もピークとなるのは春。例年4月中旬から下旬にかけて、枝垂れ桜が街の至るところで咲き誇ります。その数、実に約400本。このうち162本が日本の天然記念物に指定されており、その枝ぶりや樹形の美しさは折り紙付きです。国の重要伝統的建造物群保存地区の選定を受けている武家屋敷通りには黒板塀が連なっており、墨のような黒色と淡い桜のコントラストは美しいの一言。見頃を迎える時期は「角館の桜まつり」として夜間ライトアップも実施され、グルメ屋台やお囃子のステージなどで祭り情緒が漂います。

佐竹北家の初代領主であった佐竹義隣は京都の公家出身で、京都の雅やかな風情をこの地に取り入れたいとして枝垂れ桜を植えたそうです。まさに"小京都"と呼ぶにふさわしいルーツです。

続いては、"山陰の小京都"と呼ばれる島根県の津和野(つわの)町。豊かな自然と古い町並みが調和する街です。

街中に張り巡らされた掘割(水路)には清涼な水が流れ、悠然と泳ぐ鯉の姿も。石畳の道や細い路地、藩校跡や家老屋敷など、江戸初期に形作られた町並みがほぼそのまま残っています。潜伏キリシタンの殉教地だったため西洋建築の教会が建てられていたり、「SLやまぐち号」が走る姿を見られるのも津和野ならではの風景です。

桜の見頃は例年3月下旬から4月上旬にかけて。城下町では至るところに桜が開花し、街の中心を流れる津和野川沿いの遊歩道に咲く桜並木も風情満点。開花期間にはライトアップされ、夜桜も楽しめます。さらに毎年4月の第一日曜日には、流鏑馬が行われます。舞台となるのは日本に現存する最古の流鏑馬馬場といわれる鷲原八幡宮。狩装束に身を包んだ射手が「陰陽!」と声を発しながら次々と的を射止めていきます。満開の桜に映える流鏑馬の姿をぜひご堪能ください。
田沢湖角館観光協会
津和野町観光協会

続いては、三重県の北西部に位置する伊賀上野です。

伊賀と言えば「忍者」であり、かの松尾芭蕉の生誕地としても知られていますが、江戸時代、藤堂高虎によって伊賀上野城を中心とした城下町が碁盤の目状に整備され、その町並みは今もなお健在。"三重の小京都"と呼ぶにふさわしい風情が漂っています。

伊賀上野城は、白亜三層の美しい姿から"白鳳城"とも呼ばれています。高さ30mという日本有数の高さを誇る石垣も見どころのひとつ。

城を含めた周辺一帯は上野公園として整備され、松尾芭蕉を祀る俳聖殿や芭蕉翁記念館、伊賀流忍者博物館もあり伊賀観光の中心地となっています。

例年の桜の見頃は3月下旬から4月上旬にかけて。天守閣周辺には約600本のソメイヨシノが植えられ、シーズンになると多くの花見客で賑わいます。夜は提灯に明かりが灯り、城そのものもライトアップ。幻想的な雰囲気のもと、夜桜を楽しめます。歴史と桜のコラボを満喫したい方におすすめの小京都です。

最後にご紹介するのは奥信濃、千曲川流域に広がる長野県飯山市。かつて上杉謙信が築城した飯山城を中心に城下町として栄え、文豪・島崎藤村はこの地を"雪国の小京都"と呼びました。

特徴的なのは、山間でありながら20を超える自社仏閣が鎮座していること。その観光に便利な遊歩道が整備され、寺や神社を巡るスタンプラリーや七福神巡りが開催されています。

桜のシーズンは4月中旬から下旬にかけて。往時を偲ぶ門や土塁、石垣が再現された飯山城址公園では、約400本の桜が城山全体を覆いつくします。その他、長峰スポーツ公園や西大滝ダムも桜の名所です。

もうひとつ、足を運んでいただきたいおすすめスポットは、菜の花公園です。4月下旬から5月上旬にかけて、千曲川や関田山脈を背景に菜の花の黄色いじゅうたんが出現。「古き良き日本の田舎に春が来た」と実感できる、心和む風景が広がります。
伊賀上野観光協会
信州いいやま観光局
 
南信州の伊那谷エリアを拠点に、路線バスや高速バス、貸切バス事業を展開している伊那バス。地域住民の貴重な足であると同時に、中央アルプスと南アルプス双方へのアクセス手段として多くの観光客に利用されています。さっそく沿線のおすすめスポットから教えていただきましょう。

『まずは路線バス「駒ヶ岳ロープウェイ線」で行く中央アルプスの駒ヶ岳です。JR飯田線の駒ヶ根駅と、駒ヶ岳ロープウェイの起点となる「しらび平駅」を結んでいます。ロープウェイは高低差950mを約7分半で一気に上がり、降りるとそこは標高2,612mの「千畳敷カール」です。氷河時代に形成された半円状の窪地で、春は残雪と新緑、夏は高山植物、秋は早めの紅葉と、四季折々のダイナミックな風景が広がっています。ちなみにバスは、マイカーでお越しの方々のための駐車場がある「菅の台バスセンター」や、高速バスとの乗り換えに便利な「女体入口」でも停車しますので、鉄道以外の旅を楽しむ方にも最適ですよ。また、バスは険しい山道を走るため、車高の高いバスですと断崖絶壁を見下ろせるポイントも多々あり、ちょっとしたスリルも味わえますね』(柳澤さん)

千畳敷カールの絶景や高山植物をロープウェイで気軽に満喫できるところが大きな特徴ですね。一方で南アルプスへアクセスするバスもありますよね?

『はい。7・8月の夏季限定となりますが「南アルプス登山バス・鳥倉線」を運行しています。ご利用されるのは、南アルプスの中央に位置し、日本百名山のひとつにも数えられる標高3,052mの塩見岳へ登山する方々ですね。鳥倉登山口にアクセスしています。塩見岳は周囲に高い山がないため、山頂からは南アルプスの山々や富士山、さらに中央アルプスや遠く北アルプスまで望めます。塩見岳も駒ヶ岳も、存分に非日常を味わえるスポットといえますね』(柳澤さん)

どちらも一度は登ってみたい山です!高速バスでのアクセスも便利そうですね。

『高速バスと駒ヶ岳ロープェイ線、さらに往復のロープェイ運賃がセットになった切符をご利用になると支払いが1回で済みますので便利ですよ。この切符が使える高速バスは新宿、名古屋、京都・大阪から出ています。新宿~伊那線に導入中の、前列が広々としたSクラスシート(1便4席限定)を装備している車両ですと、よりゆったりと座れて快適ですよ。なお飯田・駒ヶ根・伊那と松本・長野を結ぶ高速バスもあり、こちらは観光で長野の名所を巡りたい方におすすめですね』(柳澤さん)

信州巡りの旅も良さそうですね。なお4月といえば桜ですが…

『当社のバスはアクセスしていないのですが、伊那市高遠町にある高遠城址公園の桜が有名ですね。実は私、歴史が好きなもので桜の時期は個人的にボランティアをしています。かつては城があったのですが、明治に入って「昔を偲ぶものを残すな」とお達しがあり、諸々壊されて廃墟になってしまいました。これではあまりに殺風景…と忸怩たる思いを抱えた昔の家来たちが「せめて桜を」と植えたのがこの地の桜のはじまりです。また、この地の名物に大根おろしの絞り汁と焼き味噌で食べる「高遠そば」というものがありますが、福島から来られた方が「ウチの地元にもある!」と。歴史を辿ると実は深いつながりがあったりして、各地から来られた方とそんな会話を交わして交流するのも楽しいですね』(柳澤さん)

それは面白いですね!最後に、伊那エリアの観光の魅力を一言!

『この地域は2つのアルプスに挟まれた"谷"ということで「伊那谷」と呼ばれています。登山やトレッキングをはじめ、豊かな湧き水や温泉、さらに伝統的な歌舞伎や祭りなどもあり、魅力が詰まっています。自然の中でゆったりとした時間を過ごされたい方は、ぜひお越しください』(柳澤さん)

お話、ありがとうございました。山に囲まれた自然と、豊かな歴史情緒を満喫する旅へ、読者の皆さんもぜひお出かけください。
伊那バス:
詳細は駅すぱあと改訂情報をご覧ください。
次回2025年5月号は、2025年4月30日(水)配信予定です。お楽しみに!
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発行日 2025年3月26日(水)
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