「駅すぱあとアンテナ」2025年3月号 「2025年の乗りものニュース」

 
 
今月は毎年恒例の「乗りものニュース」!運行ルートが変わる観光列車の情報から、環境に優しい新車両、新たに誕生する街などバラエティ豊かにお届けします。

2025年の乗り物ニュースとして、動きが活発なのは関西圏です。今年1月に大阪メトロが延伸して、大阪・関西万博会場の最寄り駅となる夢洲(ゆめしま)駅が開業。京阪バスも京都と万博会場を約85分で結ぶ「大阪・関西万博エクスプレス京都」を4月13日(日)より運行します。

万博へのアクセスが整備される一方で、注目したいのが関西圏を走る観光列車。万博を訪れた観光客に、プラスアルファの旅を提供する目的で、多種多彩な観光列車が大阪・京都を起点に発着することになります。

まずは観光列車「はなあかり」。4月5日(土)から6月29日(日)の期間は、大阪駅~尾道駅間を山陽本線経由で運行。途中、三ノ宮、神戸、姫路、倉敷、岡山、福山にも停車し、お好みに合わせたプラスアルファの旅が実現します。 2024年秋にデビューしたこの列車は、季節ごとに運行エリアを変えて走ります。奈良時代を起源とする紋付染めで最高級とされる檳榔子染(びんろうじぞめ)色をまとった外観は、格式の高さと華やかさの象徴。車内は日本の草花をモチーフとした和の色彩で統一され、出雲たたら製鉄や高岡銅器の一輪挿しがあしらわれています。

「はなあかり」と同様に、季節に応じて運行ルートが変わる観光列車『WEST EXPRESS 銀河』も健在です。

この春、3月21日(金)から5月28日(水)の期間は、関西エリアと山陰エリアを結ぶ夜行列車として運行。京都駅を起点に、大阪や神戸、米子、松江、玉造温泉、宍道などに停車して出雲市駅までを結びます。

車体カラーの瑠璃紺(るりこん)色は、西日本の美しい海や空を表現。夜行運行時はベッドに転換できるグリーン車指定席や、一般的な特急列車の座席よりも前後の間隔を広めにとり、リクライニング角度も深い普通指定席など、長距離の旅に適した構造となっています。

その他、新製リニューアル列車として2025年4月にデビューする特急「まほろば」は、大阪・新大阪~法隆寺・奈良を結びます。また、人気アニメ「ONE PIECE」とのコラボ新幹線も登場。大阪や京都を起点に、山陽、山陰、奈良へのお好みの旅を楽しんでみてはいかがですか?
万博プラスワントリップ(JRおでかけネット)

続いては、首都圏の乗り物ニュースです。

近年、鉄道車両にも「サステナブル(持続可能性)」「環境負荷の低減」といったトレンドが起きており、2月22日(土)に営業運転を開始した京成電鉄の新型車両「3200形」や、2025年度から相模鉄道に順次導入される「13000系」、小田急から譲受した車両を改造、デザイン変更した西武鉄道の"サステナ車両"こと「8000系」などが相次いでデビューします。

また、首都圏の大動脈といえるJR中央線快速・青梅線にも動きが。東京駅~大月駅・青梅駅の区間で、車体にオレンジ色の帯が入るE233系のグリーン車サービスが始まります。なお現在は、グリーン車を無料で利用できる「お試し期間」の真っ最中。ダイヤ改正前日も3月14日に終了するため、乗車してみたい方はぜひ一度お試しください。

最後にご紹介するのは、品川車両基地跡地に誕生する新しい街「高輪ゲートウェイシティ」です。2025年3月27日(木)、オフィスやホテルなどが入るツインタワーのひとつ「THE LINKPILLAR 1」が先行オープンします。

同エリアでは、環境エネルギーやロボット、ヘルスケアに関する実証実験や、未来をテーマにした無料サービスやイベントが開催され、駅前の広場周辺では、水素由来の電気で動く「自動走行モビリティ」5台が運行。無料で乗ることができます。

なお高輪は、日本で初めて列車が海上走行した地でもあります。その際に築かれた「高輪築堤」が、街の開発中に出土。2027年度、新街区のオープンに伴って一般公開される予定です。それまでの期間は、AR体験プログラムにて高輪築堤と鉄道が再現され、開通当時の様子をバーチャルで感じることができます。興味のある方はぜひお出かけください。
新型車両「3200形」運転開始!(京成電鉄)
新型車両「13000系」を導入(相鉄グループ)
「サステナ車両(8000系)」運行開始が2025年5月末に決定!(西武鉄道)
中央線快速・青梅線でグリーン車サービスを開始(JT東日本・PDF)
TAKANAWA GATEWAY CITY
熊本県の南部、球磨川に沿うようにして走る「くま川鉄道」は、国鉄「湯前線」をルーツに持つ第三セクター方式の鉄道。沿線の高校生の足として利用されてきましたが、令和2年7月の集中豪雨により、球磨川第四橋梁の流失や線路への土砂流入など多大な被害を受けました。一部運行が再開しているものの、現在も人吉温泉駅~肥後西村駅間で代替バスによる輸送が続いています。復旧工事の進捗はいかがでしょうか?

『当初は令和7年度中の全線運行再開を目指していましたが、橋梁工事の遅延が生じてしまいまして、やむなく令和8年度上半期中を目指して進めています。現在、沿線の高校生が一部区間を代替バスで通学していますが、やはりバスだと遅れが出たり、満員で乗車できない事態も生じてしまいがちです。あらためて「鉄道って、安定していたんだな」と痛感しているところです。もうひとつ感じているのは、人の温かさです。災害の翌年11月、肥後西村駅~湯前駅間の部分運行を再開した際、朝の一番列車に向かって沿線から多くの方々が手を振ってくださいました。お住いの方々も大きな被害を受けた中、「やっと動きましたね!」と自分事のように涙を流してくださる姿をみて、なんとしてでも全線運行再開を目指そうと、社員一同決意を新たにしました』(下林さん)

地域にお住いの方々にとって、鉄道は単なる交通機関を超えた象徴的なものといえそうですね。

『加えて、沿線以外にお住いの方からも寄付や応援をいただいて感謝に尽きません。YouTubeチャンネルも開設していますので、ご視聴いただくことによって収益面でも支援いただいていることになります。また、Yahoo!ショッピング内に「くま鉄オンラインショップYahoo!店』も出店し、鉄印や記念きっぷ、オリジナルグッズなどを販売しています』(下林さん)

YouTubeチャンネル、拝見しました。下林さんと社長とのやりとりもコミカルで、アットホームな雰囲気が伝わってきますね。また、一部再開している沿線を旅することも応援につながりますね。

『はい。沿線の「おかどめ幸福駅」に訪れる方も多くいらっしゃいます。現在では日本で唯一"幸福"の文字が入る駅名です。隣には売店がありまして、駅名にちなんだ"幸福グッズ"や地元の特産品を販売している他、飲食スペースも併設していてゆっくりと過ごすことができますよ。また、湯前駅がある湯前町には「湯前まんが美術館」があり、人吉球磨地域をモデルとする風景が多く登場するアニメ「夏目友人帳」の企画展示なども実施されました』(下林さん)

鉄道ファンにおすすめのスポットもありますか?

『木上(きのえ)駅や湯前駅舎など、多くの施設が国指定登録有形文化財に指定されています。また、多良木(たらぎ)駅にはブルートレイン「はやぶさ」の3車両を活用した簡易宿泊施設「ブルートレインたらぎ」があり、こちらも鉄道ファンに人気ですね。水戸岡鋭治氏がデザインを手がけた列車「田園シンフォニー」は普通列車としても運行していますので、ぜひ「鉄印」の旅などで訪れた際には乗車いただきたいですね。なお、今年2月より九州産交バスの路線バス区間(人吉球磨地区)と、くま川鉄道が一日乗り降り自由となる共通一日乗車券の販売がスタートしました。これから桜の季節を迎えるにあたり、ぜひご利用いただきたいですね』(下林さん)

最後に一言、復旧を待ち望む方に向けてメッセージをいただけますか?

『被災して以降、本当にたくさんの方々の支援、ご協力、ご寄付をいただき、感謝しています。厳しいさなかではありますが、これを乗り越えて全線運行再開を目指していきますので、どうか温かい目で見守っていただけると嬉しいですね。もちろん機会があれば、ぜひお越しいただいて沿線の旅をお楽しみください』(下林さん)

お話、ありがとうございました!読者の皆さんも復旧を目指すくま川鉄道にご注目いただき、応援の輪を広げていければと思います!
くま川鉄道:
Youtube動画「くま鉄チャンネル」:
詳細は駅すぱあと改訂情報をご覧ください。
次回2025年4月号は、2025年3月26日(水)配信予定です。お楽しみに!
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発行日 2025年2月26日(水)
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