「駅すぱあとアンテナ」2024年5月号 「皐月の水鏡」

 
 
 
過ごしやすい行楽シーズンの到来です。今月は、爽やかな皐月の風景が水面に映り込むスポットをご紹介。美しい情景に出会う旅へ出かけてみませんか?

まずは湖や池の湖面が水鏡となり、5月の美しい風景を映し出すスポットからご紹介しましょう。

最初の水鏡の舞台は、山形県西置賜(にしおきたま)郡にある白川湖。この幻想的な水没林は、春限定の風景です。

白川湖は、ダムによって形成された湖。3月下旬から5月下旬にかけて、飯豊連峰から雪解け水が大量にダムに流れ込んで満水となり、白川湖周辺に立つシロヤナギの木々が水に浸かります。3月は残雪と、芽吹く前の木々による"白の水没林"。4月中旬以降は木々が芽吹き、目に鮮やかな新緑が際立つ"緑の水没林"が広がり、風のない日は水鏡にくっきりと風景が映し出されます。

さらに天気の良い日の朝には霧が立ち込めることもあり、幻想さが引き立ちます。白川ダム湖岸公園内にはパークゴルフ場やオートキャンプ場が併設されている他、この水没林を舞台にしたカヌーやSUP体験も可能。ちなみに園内の桜は遅咲きの品種ゆえ、5月上旬~中旬にかけて咲き誇ります。幻想的な水没林と桜風景を一度に楽しめるのでおすすめです。

続いては、長野県茅野市にある御射鹿池(みしゃかいけ)。標高1500mの山中にひっそりと水を蓄えたこの池は、実は昭和初期に作られたもの。低温すぎて稲作に不向きだった八ヶ岳の水をここに貯め、日光にさらして温めるために利用されていました。

なによりこの池を有名にしたのは、日本を代表する画家、東山魁夷でしょう。モチーフとして御射鹿池が用いられ、茂った緑の木々と、池のほとりに白馬がたたずむ作品『緑響く』は、氏の代表作として広く知られています。

池の周囲はカラマツの林。そのため春夏秋冬それぞれ異なる表情を見せてくれるところが魅力のひとつ。また、同じ日であっても時間帯によってその表情が変わります。変幻するからこそ、多くのアーティストや写真家が惹きつけられるのかもしれません。
白川湖の水没林(やまがたへの旅)
御射鹿池(茅野観光ナビ)

5月は田んぼに水を張る季節。日本の田舎では日常的な風景ですが、時として思いもよらぬ絶景が生まれます。

右の画像は、三重県鈴鹿市南長太町にある県指定天然記念物「長太(なご)の大楠」。田園の中に立つ巨大なクスノキは、木の高さ約23m、樹齢1000年以上と言い伝えられており、近鉄名古屋線の車窓からもその姿を遠くに望むことができます。

江戸時代に書かれた文献によると、この木そのものが"神社"として崇められていたそうです。田植えの時期になると、その神々しい姿がくっきりと水鏡に映し出されます。

しかしながら、この画像は2019年に撮影されたもの。葉がこんもりと茂っていましたが、翌年の落雷によって葉が落ちてしまいます。しかし2022年に入ると一部の枝に新芽が生え、現在は樹木医や行政が一丸となって再生を目指しているところです。下に立つと空が見えなくなるほど葉が生い茂った、かつての"鈴鹿のシンボルツリー"の姿に戻るよう、市民からも期待が寄せられています。

続いては、富山県の砺波市。砺波平野に広がる散居村(さんきょそん)の水鏡です。散居とは、水田の中にポツンポツンと住居が建っている集落のこと。岩手県の胆沢平野、島根県の出雲平野、そして砺波平野が日本三大散居集落と呼ばれています。

砺波平野の地形は扇状地で水はけが悪いため、デリケートな水の管理が必要でした。管理や作業がしやすいよう、田んぼの近くに家を建てたことで散居村が形成されたといいます。地元の信仰や風よけの目的で家屋の南西を「カイニョ」と呼ばれる屋敷林で守り、玄関を東側に構えた「アズマダチ」と呼ばれる民家が多いことも特徴のひとつです。

砺波平野では4月末から5月半ばにかけて、田に水を張って田植えが行われます。掲載している画像は、その時期に平野を一望できる閑乗寺公園の散居村展望広場から撮影した一枚です。夕陽がいくつもの水鏡に映り込む絶景が広がります。

天気が良ければ立山連峰や、はるか遠くに日本海も望むことができ、田植え以外のシーズンにもおすすめ。この地域の歴史や文化について興味がある方は、ぜひ砺波市の「となみ散居村ミュージアム」にも足をお運びください。
長太の大楠(観光三重)
となみ散居村ミュージアム
和歌山市内を中心に県北西部を走る路線バスをはじめ、夜行高速バスや空港リムジンバスを運営する和歌山バス(株)。歴史情緒があり、自然も豊かな和歌山市内には、実は隠れた名所がふんだんにあります。さっそくおすすめスポットを教えてください!

『観光で訪れる方に人気なのは、和歌山湾に浮かぶ人工島「和歌山マリーナシティ」ですね。ヨーロッパの石造りの街並みを再現したテーマパーク「ポルトヨーロッパ」をはじめ、ホテルや温泉などが揃うリゾートです。中でも多くのお客様が訪れるのは「黒潮市場」でしょうか。ここでは生マグロの解体ショーを行っていて、さばきたてのマグロを丼物やお寿司で楽しめます。浜焼きバーベキューエリアやバイキングレストランもありますよ。一方で、はるか昔から景勝地として知られているのが和歌の浦。絶景が広がっていますが、近年は漁師町「雑賀崎(さいかざき)」の集落も注目を集めていますね。斜面に家が密集して連なる風景が、イタリアの都市・アマルフィに似ていることから「日本のアマルフィ」とも呼ばれています。昔から見ている私からすると「そうかな?」と思ったりもするんですが(笑)』(高橋さん)

実際に自分の眼で確かめたくなります(笑)。一方で、和歌山城など歴史的な名所も市内には多くありますね。

『はい。紀州徳川家の居城である和歌山城には、動物園があったり、"おもてなし忍者"がいたりと、ちょっと珍しい楽しみどころがあるのも魅力ですね。西国三十三所の第二番札所・紀三井寺(きみいでら)も人気があって、春は桜の名所としても賑わいます。231段の石段を登って後ろを振り向くと、和歌浦湾を一望できて爽快ですよ。その他、あまり知られていないところですと、日前(ひのくま)神宮・國懸(くにかかす)神宮という二社一体の大社。創建は2600年以上前といわれていて、三種の神器の「八咫鏡」に先立って造られたといわれる2つの鏡が御神体という由緒ある神社です。また、和歌山城から程近い多賀神社は、御朱印が美しくてカラフル。御朱印を集めている方はぜひ訪れてほしいですね』(高橋さん)

寺社仏閣がお好きな方は、熊野古道のみならず和歌山市も観光すると良さそうですね。ちょっとお話が変わりますが、おすすめのグルメはありますか?

『ご存じの通り、和歌山には果樹園がたくさんあります。季節の美味しいフルーツを現地で食べたい場合は、バス停「競技場前」が最寄りの「観音山フルーツパーラー」総本店がおすすめです。神戸や岡山、東京・銀座にも店舗展開していますので、お名前を聞いたことのある方もいらっしゃるかもしれませんね。また、紀三井寺のすぐ近くにある古民家パン屋さん「こむぎ処 マルキ」も地元で愛されていますよ。あと、和歌山ラーメンのお店も市内には複数あり、観光で訪れた方がバスの運転士にお店の場所を聞いて、とても喜んでいただいたこともありました。私どもなりにお答えしますので、ご乗車の際は気軽に聞いてほしいですね。ぜひ1日フリー乗車券で市内観光をお楽しみください』(高橋さん)

お話、ありがとうございました。南紀白浜や那智勝浦といった和歌山の観光地と併せて、和歌山市内の魅力あふれる観光もぜひ楽しんでいただけたらと思います。
詳細は駅すぱあと改訂情報をご覧ください。
次回2024年6月号は、2024年5月29日(水)配信予定です。お楽しみに!
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発行日 2024年4月24日(水)
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