遅い春だからこそ待ち遠しい…そんな想いと郷愁を掻き立てる青森県の津軽鉄道。津軽半島の主要交通網として昭和5年に開業し、現在は四季を通じて多くの観光客が訪れるようになりました。冬は「ストーブ列車」が人気ですが、春も「日本のさくら名所100選」に指定された公園の駅が、春を待ちわびた人びとで賑わいます。
『やはり春は、芦野公園駅の桜がおすすめですね。例年桜が見頃を迎える4月下旬からゴールデンウィークにかけて、芦野公園では「金木桜まつり」が開催されます。公園内には1500本の桜、そして駅のホーム両脇に植えられた桜のトンネルを電車が潜り抜ける姿は、写真愛好家の方々にも人気です。コロナ禍が過ぎた今年は、花火大会も開催予定と聞いていますね。また、お越しの際にはぜひ駅舎に隣接している赤い屋根の「旧駅舎」にもご注目ください。今は喫茶店になっていて、ノスタルジックな雰囲気の中でお食事やスイーツ、お茶を楽しめます。冬に運行する「ストーブ列車」のお客様も、ここで下車して旧駅舎でひと息つかれる方が多いんですよ』(舘山さん)
芦野公園駅の桜は、ぜひ一度見てみたいと思っていました!その他、沿線のおすすめスポットを教えてもらえますか?
『まずは五所川原駅の「立佞武多の館」。高さのある大型立佞武多が展示されていて、夏の祭りの時期以外でも美しく勇壮な姿を眺めることができます。ちなみに駅前には当社社屋があり、その1階のコミュニティカフェ「でる・そーれ」では、青森シャモロックや舞茸など県内の食材を使った「津鉄汁」が楽しめますのでぜひご賞味ください。あと人気のスポットといえば、金木駅が最寄りの太宰治記念館「斜陽館」ですね。太宰の生家が現在はミュージアムになっていて、愛用した文机や実物の原稿などが展示されています。当社でも、太宰のふるさとにあやかって「走れメロス号」を通年で運行していますよ』(舘山さん)
太宰治の小説『津軽』を読んでから出かけてみるのも楽しそうですね。ちなみに、終点となる津軽中里駅より北へ観光へ向かう方もいらっしゃいますか?
『はい、バスなどに乗り継いで、十三湖や小泊、竜飛岬方面へ向かう方もいらっしゃいますね。先程も触れましたが当社1階にはレンタサイクルのステーションも入っていて、ここから各所の観光に出かける方もいます。中には竜飛岬まで行き、ぐるっと津軽半島を巡るサイクリストの方もいらっしゃるほどです。あとは、新幹線が停車する奥津軽いまべつ駅まで行って、そのまま北海道観光に向かう方もいらっしゃいますよ』(舘山さん)
なるほど!旅のバリエーションが多彩ですね。観光で訪れた人からはどんな声が寄せられていますか?
『懐かしさを感じたという方が多いですね。駅舎や車両だけでなく、ホームに漂うストーブ列車の煙さえも懐かしいと言われたことがあります。きっぷも硬券で、見せていただければそのまま持ち帰りできますよ。青森県は広いので、1日2日では巡り切れません。なので春や夏に来た方は冬に、冬に来た方はそれ以外の季節にと、複数回訪れる方も少なくありません。まずはぜひ一度、桜が咲き誇る季節にお越しいただきたいなと思います』(舘山さん)
お話ありがとうございました!遅き春を訪ねる津軽の旅、ぜひ皆さんも出かけてみてはいかがですか。