「駅すぱあとアンテナ」2024年3月号 「2024年の乗りものニュース」

 
 
今月の特集は、毎年恒例の乗りものニュース。北陸新幹線の延伸開業をはじめ、新型車両や観光列車の話題を中心にお届けします。

今年のニュースで真っ先に目につく話題は、北陸新幹線の延伸開業です。高崎駅と長野駅が結ばれたのが1997年で、長野駅から金沢駅間の開業が2015年。そこからおよそ10年を経て、ついに福井県に新幹線が乗り入れることになります。

デビューは3月16日(土)。金沢駅発の一番列車「つるぎ」は約1分、東京駅~敦賀駅間を運行する「かがやき」の一番列車も5分かからず完売したとのこと。注目度の高さが伺えます。

時間短縮は、最速で東京駅~敦賀駅間が3時間8分。従来よりも約50分ほど早くアクセスできるようになりました。停車タイプの「はくたか」の場合、金沢駅~敦賀駅間の小松駅、加賀温泉駅、芦原温泉駅、福井駅、越前たけふ駅にも停車します。なお、関西と北陸を結んでいた特急「サンダーバード」、名古屋方面を結んでいた特急「しらさぎ」は敦賀駅止まりとなり、新幹線に乗り換えて北陸方面へアクセスするかたちとなります。

今回の延伸で盛り上がる福井県は"100年に1度の好機"と捉え、観光誘致を進めています。家族連れには恐竜博物館や越前松島水族館、歴史名勝をお求めの方には東尋坊、永平寺、一乗谷朝倉氏遺跡、グルメをお求めなら越前がにや越前おろしそば、ソースかつ丼など、旅の楽しみどころは豊富です。

同じく3月16日(土)に、山形新幹線E8系もデビューを飾ります。

宇都宮─福島間の営業速度は、従来の275km/hから最高300km/hにアップ。新幹線の横揺れを抑制する機構を全ての車両に搭載し、乗り心地も向上。全席にコンセントを配し、車椅子スペースも増設されて多様な旅が実現します。

外装は、なじみのあるE3系のイメージを踏襲しつつ「豊かな風土と心を編む列車」をコンセプトに「おしどりパープル」「紅花イエロー」「蔵王ビアンコ」といった山形を彷彿とさせるご当地カラーを配置。内装も、紅花色や山形の名山、月山(がっさん)をイメージした深緑色の座席が鮮やかで、まさに山形仕様。気分爽快な旅を演出しています。
北陸新幹線 金沢-敦賀間 開業(JRおでかけネット)
山形新幹線E8系 DEBUT(JR東日本)

観光列車のデビューも相次ぎます。4月6日(土)にはJR西日本の新型車両、273系が「特急やくも」として岡山駅~出雲市駅間で運行を始めます。 宍道湖に沈む夕陽のウコン色、たたら製鉄の黄金色など4つのブロンズをベースにつくられた「やくもブロンズ」に輝く外装はインパクト絶大です。ちなみに、2022年から「やくも」は旧国鉄時代から活躍していた381系、そのリバイバル塗装車両が運行していましたが、今年の6月末までに順次運行終了となります。273系を体験したい方も、「国鉄色」や「スーパーやくも色」の381系をその目で見届けたい方もぜひ沿線に訪れてみてください。

JR九州では、新D&S列車として特急「かんぱち・いちろく」がこの春より運行予定です。博多駅からゆふ高原線(久大本線)を経由して、由布院駅・別府駅を1日片道1便運行します(木曜は運休)。久大本線にゆかりある麻生観八氏と衞藤一六氏の名前が列車名となっています。

車両は、かつて肥薩線を走っていた「いさぶろう・しんぺい」をリニューアル。樹齢約250年の杉を用いた1枚板カウンターの2号車ラウンジや、定員6名の畳の個室、半個室型のBOX席など、観光列車の新世代を思わせる内装が魅力です。途中の停車駅では、沿線にお住いの方々によるおもてなしが受けられる"おもてなし駅"を設定。触れ合いや特産品の販売なども楽しめます。

もうひとつ、乗りものや旅行好きな方が楽しみにしていた、新たな黒部ダム観光ルート「黒部宇奈月キャニオンルート」ですが、令和6年能登半島地震の影響とみられる落石で黒部峡谷鉄道の鐘釣橋が損傷。全線開通の見通しが立たず、旅行商品の販売が延期となっています。

その一方で、従来の「立山黒部アルペンルート」では、2024年4月15日(月)より春の風物詩「雪の大谷」を間近に見られるイベントがスタートします。そこでぜひ、注目してほしいのがトロリーバスです。国内で唯一、ここだけで走っていた立山トンネルトロリーバスが今年12月にラストランを迎えます。

道路の上空に張られた架線から、電気を取り入れて走るトロリーバス。日本での営業運転は昭和3年に始まりました。

アルペンルートでは、1964年に関電トンネルトロリーバスの運行がスタート。その後、立山トンネルトロリーバスが運行。関電トンネルのバスが2018年に運行終了し、いまは立山トンネルでの運行のみ。排気や環境に配慮して導入されたトロリーバスは、電気バスに切り替わります。

「バス」といいつつも「無軌条電車」、すなわち電車の仲間とされる、今となっては珍しいバスです。日本最後の雄姿を、ぜひ心に刻んでほしいと思います。
新型やくも(JRおでかけネット)
新D&S列車 特急「かんぱち・いちろく」(JR九州)
立山黒部アルペンルート
仙台西部を走る「仙台西部ライナー」と、東北新幹線の白石蔵王駅と青根温泉を結ぶ観光路線バス「みやぎ蔵王山麓アクセス線」を運行する(株)タケヤ交通。それぞれの沿線に魅力的なスポットがたくさんあります。まずは、仙台駅とかわさきまちを結ぶ「仙台西部ライナー」のおすすめスポットを教えていただけますか?

『まずは秋保(あきう)温泉郷ですね。数々の温泉宿と上質な湯、さらに深さ20mに及ぶ渓谷「磊々峡(らいらいきょう)」も見どころのひとつです。私も昔から訪れていますが、近年はワイン工場やビール工場、カフェなどの飲食店が増えてましたね。若者を中心に食べ歩きを楽しむ方の姿も多くみられます。少し足を延ばせば、勝負の神様として知られる秋保神社や、日本三名爆のひとつでもある秋保大滝もおすすめです。高さ55mから豪快に流れ落ちる姿は圧巻ですよ。秋保温泉から先のスポットとしては、国営みちのく杜の湖畔公園も人気ですね。春になるとスイセンや桜、チューリップが一面に咲き誇り、目を見張るものがありますよ。一方で、仙台市内から近いところだと仙台市天文台もおすすめです。もともと展示施設も豊富で人気でしたが、昨年6月にプラネタリウムがリニューアルしてますます注目を集めています』(大野さん)

仙台観光というと伊達政宗の瑞鳳殿や青葉山公園がパッと思いつきますが、少し足を延ばすだけで旅の選択肢が広がりますね!一方、「みやぎ蔵王山麓アクセス線」のおすすめは?

『近年、SNSなどを通じて人気が高まっているのは「宮城蔵王キツネ村」ですね。キツネは動物園でも見られますが、珍しい種を含め100匹以上のキツネが囲われることなく、伸び伸びと暮らしている施設は国内でもここだけだと思います。ちなみに、キツネ村へ通じる道には、約8kmほどの坂道に約5000株のあじさいが咲く「あじさいロード」があり、初夏に見頃を迎えますよ。あとはやっぱり、温泉。歴史情緒あふれる建物が軒を連ねる鎌先温泉や、古くから湯治場として知られてきた遠刈田(とおがった)温泉、人気の日帰り入浴施設「じゃっぽの湯」がある青根温泉へアクセスしています。どの温泉郷もおすすめですよ。各ホテルの玄関先にバス停があるので便利です』(大野さん)

どちらの路線も、どこかひとつ温泉に立ち寄りたくなりますね。旅行者にとっておすすめのきっぷはありますか?

『「仙台西部ライナー」では、秋保温泉郷とみちのく杜の湖畔公園を訪れるお客様には往復割引券が便利です。日をまたいでもご利用できますし、秋保温泉郷も仙台駅から片道約40分なので、仙台の中心部に宿をとって日帰りでお出かけすることも可能です。また、クレジットカードやQRコード、電子マネーなどのキャッシュレス決済も観光旅行のお客様から好評いただいています。また、地元に住む私たちにとってはごくふつうなのですが、「~だっちゃ」などの仙台弁で親切に道案内してくれた乗務員さんが良かった、という声もいただいています。ぜひご利用いただき、仙台市中心部から程よく近い温泉や名所を楽しんでもらいたいですね』(大野さん)

お話ありがとうございました!仙台の旅のバリエーションがグッと多彩になる「仙台西部ライナー」と、キツネと温泉を楽しみたい「みやぎ蔵王山麓アクセス線」。のんびりホッとする、みちのくの旅を皆さんもぜひお楽しみください。
タケヤ交通:
https://takeyakotsu.jp/
キャンペーン詳細についてはこちら
2024年春の鉄道・路線バス運賃改定・ダイヤ改正特設ページはこちら
詳細は駅すぱあと改訂情報をご覧ください。
次回2024年4月号は、2024年3月27日(水)配信予定です。お楽しみに!
メールマガジン配信の登録・変更・停止
お手持ちの『駅すぱあと』登録番号とパスワードをご用意ください。
https://secure.ekiworld.net/eworld/menu/menu.do?event=18
発行  株式会社ヴァル研究所 https://www.val.co.jp/
発行日 2024年2月28日(水)
お問い合わせ https://ekispert.jp/contact/
本メールは『駅すぱあと』登録ユーザーの方でメール配信をご希望されたお客様にお送りしています。


当社の個人情報保護方針ならびにポリシーについては以下をご覧ください。
<個人情報保護について> https://www.val.co.jp/privacy

この記事は役に立ちましたか?

他にご質問がございましたら、Webフォームからお問い合わせください