「駅すぱあとアンテナ」2022年11月号 「紅葉と近代遺構ウォーク」





 
かつて産業の発展に貢献し、今はひっそりとたたずむ遺構の数々。紅葉の季節、ウォーキングしながらレトロな情緒に包まれてみませんか。

かつて首都圏から軽井沢へ行く際は、信越本線の横川駅で「峠の釜めし」を買い、碓井峠を越えて向かうコースが定番でした。登山列車に乗りながら「こんなところによく鉄道を通したな…」と思われた方も多いかもしれません。ドイツのハルツ山鉄道を参考に「アプト式」が採用され、数多くのトンネルや橋梁をつくる難工事を経て横川駅~軽井沢駅間が開通したのは明治26年のこと。以来、観光や物流網として長きにわたって活躍し、平成9年、長野新幹線開通に伴って廃線となりました。

その廃線跡の一部、JR横川駅から旧熊ノ平駅間は現在、遊歩道「アプトの道」として整備され、人気のハイキングコースとなっています。今の季節は紅葉と近代遺構とのコントラストが美しく、例年11月中旬まで楽しむことができます。

このルートの象徴的存在は碓井第三橋梁です。この4連アーチ橋は「めがね橋」の愛称で親しまれています。川底からの高さは31mで、レンガ造り橋梁としては日本最大級。山深い地にひっそりとその姿をとどめる巨大建築の姿に、思わず息を呑むことでしょう。めがね橋を含め、残存する5基の橋梁はすべてレンガ造りで、いずれも国重要文化財に指定されています。

左の画像は、横川駅から出発して30分ほど歩いたところにある旧丸山変電所。蒸気機関車だと煙が数多くのトンネル内に充満し乗務員や乗客が窒息する恐れがあったため、明治45年に日本で先駆けてこの区間に電気機関車が導入されました。それに伴って前年に建てられたのがこの変電所です。じっと眺めていると、時が止まったかのような気分に浸ることができます。

碓井湖をはじめとした美しい自然と歴史情緒に触れながら歩く、アプトの道ハイキングコース。この工程は約13km、所要時間は約4時間です。さらに詳しく鉄道について知りたい方や鉄道好きなお子さんのいるご家族には、コースの起点に位置する鉄道テーマパーク「碓氷峠鉄道文化むら」で遊ぶのもおすすめです。一方、ゆったりとリフレッシュしたい方は天然温泉「峠の湯」を楽しむなど、皆様思い思いのプランを立ててお出かけください。
アプトの道ハイキングコース(安中市)

次にご紹介するのは、愛知県春日井市の愛岐(あいぎ)トンネル群です。

明治33年、国鉄中央(西)線の名古屋駅~多治見駅間が開通。戦後の高度成長期まで単線の鉄路とトンネル群が活躍していましたが、複線電化の時代に切り替わり新たな鉄路とトンネルが建設され、昭和41年に高蔵寺駅~多治見駅間が廃線となりました。

時は過ぎて平成17年、JR勝川駅の改修工事のおり、残存していた明治時代の赤レンガ製プラットフォームが撤去されるタイミングで「この赤レンガ、再利用できないものか」と機運が高まりました。そこでふと「たしか定光寺あたりに赤レンガのトンネルがあった気がする」と地元のご老人が思い出したことをきっかけに、トンネル探しがスタート。数ヶ月かけて、40年もの間、藪の中で眠り続けていたトンネル群が発見されたのです。その価値はすぐに認められ、経済産業省の「近代化産業遺産」にも認定されました。

現在は愛岐トンネル群保存再生委員会によって整備・保全がなされ、年に2回、春と秋に特別公開を行っています。今秋の特別公開は11月26日(土)から12月4日(日)までの9日間です。

崖っぷちに建つ駅として鉄道ファンにも知られる定光寺駅を降りて少し歩くと、散策ルートのスタート地点、3号トンネルが見えてきます。ルート内の設備はすべて保存会の手づくりによるもの。トンネルの入り口はかつて勝川駅のプラットフォームの土台になっていた明治時代の赤レンガを移設して作られています。トンネルを通り抜けると美しい紅葉が広がり、古レールを再利用した落下防止柵や、廃材を利用して建てた東屋があり、竹林を眺めつつお茶で一服することも可能です。

SLが汽笛を鳴らしながら駆け抜ける音響効果が楽しめる4号トンネルを抜けると、愛岐トンネルのシンボルといえる大モミジが立つ広場に出ます。県下最大級の巨木の他にも、ルートには300本ものモミジが自生しており、秋には廃線のトンネルとモミジのトンネルを交互に歩くようなイメージで散策を楽しめます。

他にも、公開時は多くの人で賑わうマルシェ広場や、廃レンガ式のステージでのコンサート、モミジの群落とピクニック河原、「くの字」に曲がっている珍しい6号トンネルなど、実に見どころ豊富。保存再生委員会の方々の熱意とおもてなしの心をひしひしと感じます。期間限定で公開される貴重な機会に、ぜひ訪れてみませんか?
NPO法人 愛岐トンネル群保存再生委員会
 
 
福島県の磐梯・猪苗代エリアで路線バスを運行している磐梯東都バス。豊かな自然と歴史を満喫したい観光客の重要な足として利用される一方、生活路線としても機能しています。現在の見どころは、やはり壮大な自然が織りなす"紅葉"だそうです。

『裏磐梯高原の紅葉がちょうど見頃です。標高差がありますので、例年11月上旬まで楽しめます。おすすめは、年間を通じて人気の高い五色沼自然探勝路ですね。五色沼は"5つの沼"という意味ではなく、エメラルドグリーンやコバルトブルーなど様々な色彩を持つ大小30ほどの湖沼の総称です。「五色沼入口」バス停で下車して約4km、約1時間半程度かけて探勝路を歩けば「裏磐梯高原駅」バス停に辿り着くので、歩きやすい靴を履いていれば比較的どなたでも楽しめます。私も何度か歩いてますが、なぜこうもそれぞれ色が違うのか、いまだに不思議ですね。次から次へと景色が変わるところが魅力です』(林さん)

手軽に自然の神秘を体感できそうです!一方で、冬の楽しみは何でしょうか?

『やはり猪苗代スキー場が人気ですね。先ほどお話した五色沼自然探勝路も、スノーシューを履いたガイド付きの散策ツアーが催されています。磐梯・猪苗代エリアでは例年12月頃から雪が降り始め、多い時は一晩で40~50cm積もることもあるんですよ。2月末までは一面の銀世界をお楽しみいただけます。あと、忘れてならないのが猪苗代湖。実は白鳥の飛来地として有名で、多くの白鳥がこの地で冬を過ごします。遊覧船発着場から最寄りの「長浜」バス停で下車し、湖でエサをあげたり、写真を撮っている観光客の方も多くいらっしゃいますね』(林さん)

季節ごとの楽しみ、見どころがあるんですね。このエリアを観光するにあたり、便利なきっぷはありますか?

『磐梯・猪苗代エリアも含めた会津エリアの観光なら「会津ぐるっとカード」がおすすめです。弊社の路線バスだけでなく、JR線、会津鉄道、会津バス、会津若松市内を走る周遊バス「ハイカラさん」が2日間乗り放題となります。観光施設や宿泊施設、飲食店やお土産店などの割引サービス特典もついていますのでお得ですよ』(林さん)

「路線バス乗り継ぎの旅」も実現しそうですね!

『そうですね。裏磐梯高原から喜多方方面に向かうことができますが、利用する会津バスさんの便が1日に朝夕1本ずつなので、裏磐梯高原で1泊して、会津バスさんの早朝の便に乗って喜多方へ向かうのがよいかもしれません。磐梯・猪苗代エリアで自然を満喫して、鶴ヶ城など会津まるごと楽しむ旅に出かけてもらえたらと思います』(林さん)

お話ありがとうございました。高原が紅葉で染まった後は、雪景色と白鳥。季節を感じるロマンチックな会津の旅、ぜひ皆様も計画を立ててみてください。
ホームページ:https://www.totobus.co.jp/bandai/
 
 
 
 
   
【 鉄道 】
JRは、JR時刻表2022年11月号の内容に対応
私鉄および公営は、2022年10月19日現在の時刻表に対応
【ダイヤ】
●伊予鉄道市内線
2022/11/1 改正
●東京モノレール
2022/11/7 変更
【臨時ダイヤ】
 
●東武鬼怒川線
2022/10/28・30 一部列車時刻変更
●ゆいレール
2022/10/29~30・11/3 臨時ダイヤ
●東武東上線
2022/11/1 一部列車時刻変更
●六甲有馬ロープウェー
2022/11/1~30の平日と休日 営業時間延長
●叡山電鉄
2022/11/7~27 秋の臨時ダイヤ
●東武スカイツリーライン
2022/11/7~8・14~15・22・25 一部列車時刻変更
●京阪大津線
2022/11/7・14・21・12/5・2023/1/16~2/13の月曜
工事に伴う一部列車運休
●小田急小田原線
2022/11/11 工事に伴う一部列車運休・代行バス
●八幡山ロープウェー
2022/11/12~27 営業時間延長
●福岡市地下鉄
2022/11/13 福岡マラソンに伴う臨時列車運転
●谷川岳ロープウェイ
2022/11/14~21 定期点検に伴う運休
●千葉モノレール
2022/11/19 工事に伴う一部運休
●東武鬼怒川線
2022/11/26 「SL大樹」追加運転
【運賃】
 
●広島電鉄
2022/11/1 改定
   
詳細は駅すぱあと改訂情報をご覧ください。
次回2022年12月号は、2022年11月30日(水)配信予定です。お楽しみに!
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発行日 2022年10月26日(水)
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