島根県松江市と出雲市を結ぶ"ばたでん"こと一畑電車は平成18年、一畑電気鉄道(株)から分社化。地元の生活路線でありつつ、観光や参詣向けの鉄道としての役割も担っています。
『沿線ですと出雲大社が有名ですが、元々は一畑薬師への参拝と、現在本社のある出雲市平田地区への鉄道の敷設を目的に大正時代に一畑軽便鉄道としてスタートしました。一畑薬師は"目のお薬師さま"として人気があり、現在も多くの方々が参拝に訪れています。また、鉄道ファンの方の中には粟津稲荷神社をご存じの方もいらっしゃると思います。鳥居が連なる参道を一畑電車の線路が横切っていて、電車が通る瞬間を写真に収める方も多いですね。国の登録文化財に指定されている出雲大社前駅の西洋風駅舎にも、ぜひご注目ください』(野津さん)
出雲大社も含め、他の寺社仏閣も巡ってみたいです。お参り以外の観光名所だと、どこがおすすめですか?
『まずは国宝の松江城と宍道湖ですね。宍道湖の北岸を沿って一畑電車が走っていますので、車窓からの眺めは抜群です。またサイクリングロードもあり、出雲大社前駅と雲州平田駅ではレンタサイクルのご利用が可能です。本格的なサイクリストはもとより、起伏が少ないのでツーリスト向けでもあります。一畑電車は終日全区間で車両内に自転車を持ち込むことができるため、急に雨が降ってきたり、パンク等の対処に困り、ちょっと疲れたなと感じた時にはそのまま自転車と共に乗車できて便利ですよ』(野津さん)
サイクルトレインは増えつつありますが「終日全区間」なのは珍しいかもしれませんね。もうひとつ、一畑電車の大きな魅力を挙げるとしたら「体験運転」でしょうか。
『そうですね。2011年から始まって、おかげさまで全国各地からお客様が訪れています。ご家族連れで旅行中の方もいる一方、リピーターの方が多いのも特徴的ですね。コロナの感染拡大時期は休止していましたが、現在は毎週末の土曜と日曜に定期開催しているので計画が立てやすいのかもしれません。また、使用している「デハニ50形」という車両はとても古く、近年の車両にはないリアルなブレーキ感覚を味わえるところも魅力です。一番多い方だと、これまで1,500回以上、体験されていますね』(野津さん)
それはすごいですね!最後にお伺いしたいのは、旅行で訪れる際におすすめのきっぷです。どんなものがありますか?
『一畑電車全区間が1日乗り降り自由の「1日フリー乗車券」と、当社区間をはじめ一畑バス、松江市営バス、出雲空港連絡バス、米子空港連絡バスを3日間利用できる「縁結びパーフェクトチケット」がおすすめです。「縁結び~」は30以上もの施設で割引や特典が受けられますので、ぜひご利用いただいて出雲路の旅を楽しんでもらいたいです』(野津さん)
お話ありがとうございました。新春の参拝や、サイクリングに適した春や秋、宍道湖が美しく映える夏と、皆様お好みの時期をイメージして旅行計画を立ててみてください。