「駅すぱあとアンテナ」2022年10月号 「海辺の宝物」





 
落ち着いた雰囲気が漂う、秋の海辺。日本の海岸の中には"宝物"のような稀少なものに出会えるところがあります。お散歩がてら、お宝巡りを楽しんでみませんか?

海辺を歩いていると、ふと美しい石や流木などを目にする機会があります。まず最初にご紹介するスポットは「ヒスイ海岸」です。

ヒスイは、深緑の半透明な宝石。はるか昔、5億年前にできた石といわれています。古来から世界各国で珍重されてきましたが、日本で最初に原石が発見されたのは昭和になってからのこと。古墳時代の勾玉(まがたま)工房跡「浜山玉つくり遺跡」が朝日町で発見され、その後調査が進められる中、海からヒスイが打ちあがる富山県下新川郡朝日町の浜辺がヒスイ海岸と名づけられました。砂利浜の海岸はエメラルドグリーン色を帯び、「日本の渚百選」「快水浴場百選」にも選ばれています。

また、 新潟県糸魚川市押上の浜辺もヒスイ海岸の愛称で親しまれています。ヒスイの原石は糸魚川沿いの山中で生まれ、長い年月を経て川を下り、海へ辿り着きます。

どちらの「ヒスイ海岸」も"宝探し"を楽しむ人びとの姿があり、中にはヒスイの原石を手に入れるラッキーな方も。ヒスイではないものの、美しい色合いの石が多いため、散策がてら気軽に楽しむ方も多いようです。

次にご紹介するスポットは、京都府京丹後市に広がる琴引浜(ことひきはま)。全長1.8kmにわたる白砂青松の景勝地で、国の天然記念物・名勝にも指定されています。

こちらのお宝は「石英」。無色透明だとご存じ「水晶」ですが、石英や水晶がゴロリと転がっているわけではありません。琴引浜の砂には細かな石英が含まれており、浜辺を歩くと摩擦によって「キュッキュッ」と音がします。いわゆる"鳴砂(なきすな)"です。この音は、海岸がきれいであることが大前提。そのため地域の方々が協力して清掃活動をしています。

美しく保たれているがゆえ「微小貝(びしょうがい)」が数百種類も生息していることも特徴のひとつ。目を凝らして砂浜をみると、ミリ単位の小さなかわいい貝をみることができます。鳴砂の「音」、風光明媚な「景色」、生命の神秘を感じられる「微小貝」という3つの宝物に出会いに行ってみませんか?
ヒスイ海岸(朝日町観光協会)
ヒスイ海岸(新潟県観光協会)
琴引浜(京丹後ナビ)

次にご紹介する宝物は"モノ"ではありません。日本に住まう人びとに昔から恩恵をもたらしてくれている温泉です。オーシャンビューの温泉施設は多々ありますが、今回は海辺でじかに触れられる温泉をご紹介しましょう。

まずは青森県の「黄金崎不老ふ死温泉」です。世界自然遺産である白神山地の麓に位置し、日本海に沈む夕陽の絶景を満喫できる景勝地・黄金崎にあります。

なによりダイナミックなのは露天風呂。海岸の岩浜と一体化しており、海までの距離はわずか1mたらず。ひょうたん型の混浴露天風呂の他、女性専用露天風呂や内湯も完備されています。すべてが100%源泉かけ流しで、色は濃い茶褐色。鉄分と塩分を多く含むため湯冷めにしにくいのが特徴で、「ここで養生すれば老いたり弱ったりしない」という命名にもつながりました。日帰り入浴もできますが、夕陽が沈むさまを湯に浸かりながら満喫できる宿泊がおすすめです。

次は、"浸かる"というより"お宝を掘り当てる"ような気分になれるスポットとして、鹿児島県の有村海岸をご紹介します。

有村海岸は活火山・桜島の麓に位置しています。かつては湯治客が訪れる温泉郷だったそうですが、大正3年の桜島噴火によって消失。その名残といえるのが、海岸を掘ることで湧く温泉です。

この地の観光拠点である桜島ビジターセンターでは、スコップやタオル、有村海岸までの地図が含まれた温泉掘りセットが販売されています。海岸に赴き、波打ち際を少し掘ると40℃前後の茶褐色の温泉が湧き出し、足湯を楽しむことができます。また、NPO法人桜島ミュージアムへ申し込むとガイドつきの天然温泉掘り体験が可能。ただし、潮汐により実施できる時間帯が限られるのと、雨天は中止となります。

桜島と、海岸で冷え固まった溶岩、そして湧き出る温泉。火山がもらたす壮大な風景の中、ぜひ楽しんでみてはいかがですか。
黄金崎不老ふ死温泉
有村海岸 天然温泉掘り体験(鹿児島県観光サイト)
 
IGRいわて銀河鉄道は、東北新幹線の盛岡~八戸間の開業に伴い、東北本線の盛岡~目時間をJR東日本から引き継いで開業した第三セクター鉄道です。今年で開業20周年を迎えます。

『開業20周年を記念して、盛岡~青森を結ぶお得なきっぷを10月31日(月)まで発売中です。片道タイプとフリーパスタイプ、2種類ありますので旅のプランに合わせてお選びいただけます。直通臨時列車にもご乗車いただけますよ。また、通年発売している「きたいわてぐるっとパス」も人気です。IGRのほか三陸鉄道やJRバス東北、岩手県北バスに乗車できて、北岩手をぐるっと一定方向乗り降り自由な3日間周遊パスとなっています。秋は紅葉や田んぼの風景も美しく、のどかでのんびりとした旅がしたい方にぜひご利用いただきたいですね』(浅井さん)

乗り物好きな方にもぴったりですね。沿線のおすすめの観光地はどこでしょうか?

『まずは一戸駅が最寄りの「御所野(ごしょの)縄文公園」ですね。「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産のひとつとして、2021年7月に世界文化遺産に登録されました。縄文時代中期後半の拠点集落跡で、復元された竪穴式住居やストーンサークルがあります。また、いわて沼宮内駅が最寄りの「石神の丘美術館」は岩手県内初の野外彫刻美術館で、魅力的なアート作品と草花との調和を楽しめますよ』(浅井さん)

どちらも屋外で、非日常に浸ってリフレッシュできそうですね。御所野縄文公園を起点に、青森の三内丸山遺跡など縄文遺跡群を巡る旅も楽しそうです。

『沿線の温泉やグルメもおすすめですよ。スキー場が併設している奥中山高原温泉や"座敷わらし"で有名な金田一温泉郷があります。画像は今年春にオープンしたばかりの温泉複合施設「カダルテラス金田一」です。グルメのおすすめは岩手県の郷土料理「ひっつみ」。小麦粉をこねて薄く伸ばしたものを手でちぎり、野菜やきのこ、鶏肉などと煮込む鍋料理です。二戸駅に隣接する「銀河ダイニング へのへの」でも提供していますので、ぜひ下車して味わってほしいですね。通年提供していますが、これから寒くなる時期には格別です』(浅井さん)

鉄道ファンに向けたスポットなどもあると聞きました。

『滝沢駅にある「TRAIN SPOTTER'S(トレインスポッターズ)」は、駅のホームでは全国初となる鉄道写真撮影専用スペースです。それと、青山駅青山南口で発売中の「鉄印」「鉄印帳」もコレクターの方々に人気で、全国各地からご来駅いただいています。関西方面にお住まいの年配のご夫婦が訪れた際、「鉄印がきっかけで夫婦一緒に旅をする機会が増え、東北を巡っている」と駅員が聞き「自分も将来、こんなふうになりたいなぁ」と感じたそうです。今まで集めた他の鉄道会社の鉄印を見せてくれることもあるそうですよ』

それは素敵なエピソードですね!最後に一言、「旅したい!」と思っている方々にメッセージをいただけますか? 『IGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道は今年開業20周年ということで、直通臨時列車の運行やお得なきっぷの発売など、共同で企画を実施しています。ぜひこの機会に訪れていただきたいですね』(浅井さん)

お話ありがとうございました。今年の秋~冬にかけて、身も心も温まる北岩手の旅を計画してみてはいかがですか。
ホームページ:https://igr.jp/
 
 
 
 
 
 
   
【 鉄道 】
JRは、JR時刻表2022年10月号の内容に対応
私鉄および公営は、2022年9月20日現在の時刻表に対応
【ダイヤ改正】
●秩父鉄道
2022/10/1 改正
【臨時ダイヤ】
 
●御岳登山鉄道
2022/9/25 臨時便運転
●アストラムライン
2022/9/25 サッカー開催に伴う臨時列車運転
●高尾登山電鉄
2022/10/4~6 営業時間延長
●西武池袋線、秩父線
2022/10/15~11/27 一部特急列車の吾野駅臨時停車
●近鉄名古屋線
2022/10/22~2023/5/28の土休日 一部急行列車の近鉄長島駅臨時停車
●西武秩父線
2022/11/12 一部特急列車の芦ヶ久保駅臨時停車
   
詳細は駅すぱあと改訂情報をご覧ください。
次回2022年11月号は、2022年10月26日(水)配信予定です。お楽しみに!
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発行日 2022年9月28日(水)
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