熊本県の八代(やつしろ)駅と鹿児島県の川内(せんだい)駅を結ぶ肥薩おれんじ鉄道は、九州新幹線の新八代~鹿児島中央間の開業に伴ってJR九州から移管された第三セクター鉄道。路線自体の歴史は古く、今年は各区間で100周年を迎えるメモリアルイヤーです。
『日本に鉄道が開業して今年で150周年。そして肥薩おれんじ鉄道の西方駅~川内駅間は今年7月に開業100周年を迎えました。これを皮切りに他の区間でも次々と100周年を迎え、記念硬券セットの販売や企画列車、イベント等を随時実施する予定です。硬券きっぷは八代駅や川内駅をはじめ、複数の駅でご購入いただけます。ちなみに観光列車「おれんじ食堂」も今年度で運行開始から10周年となります』(片岡さん)
「おれんじ食堂」は、かつて「駅すぱあとアンテナ」でも紹介させていただいたことがあります。食堂列車ブームの先駆け的存在ですよね。
『はい。沿線の食材をふんだんに使い、便ごとに異なる趣向を凝らしたお料理をお楽しみいただます。地元の方とふれあうひとときや、客室乗務員による名所案内、風光明媚なスポットでの徐行運転も好評いただいていますね』(片岡さん)
気になるおすすめの観光スポットを教えてください。
『熊本では、アニメ「放課後ていぼう日誌」の舞台にもなった芦北町です。佐敷駅からレンタサイクルで気軽にアニメに出てきた場所を巡ることができ、同アニメのラッピング列車も運行中です。ちなみに芦北町は太刀魚が有名なので、ぜひ味わっていただきたいですね。鹿児島では、おれんじ鉄道線の車窓からも見える※こしき島(しま)です。2020年にこしき大橋が開通し、上こしき島、中こしき島、下こしき島がすべて繋がりました。列車の車窓から眺めた後、川内港ターミナルもしくは串木野新港から船で渡り、どこを切り取っても「100%絶景」と呼ばれている島の風景をぜひご堪能ください』(片岡さん)
胸のすくような風景ですね。本州から肥薩おれんじ鉄道へアクセスするには、どのルートが一般的ですか?
『山陽・九州新幹線を利用すると、新大阪や岡山などから乗り換えなしで気軽にアクセスできます。飛行機は、鹿児島空港から新水俣駅、水俣駅、出水駅、阿久根駅、川内駅の各駅へ、熊本空港からは八代駅へ直行のバスが出ています。なお、今年4月から「おれんじ1日フリー切符」の販売がスタートしていますので、旅のニーズに応じてご利用いただけたらと思います』
お話ありがとうございました。これからの季節は柑橘類も実り、海と柑橘畑を眺めながらのんびりとした列車の旅が楽しめるとのこと。ぜひ旅の計画を立て、出かけてみてはいかがですか。
※「こしき」は「曾」に「瓦」