「駅すぱあとアンテナ」2022年9月号 「スイーツの郷」





 
これから秋にかけて、様々なフルーツが実りの季節を迎えます。今月は、ご当地名産の果物やスイーツを町ぐるみで推していて、街歩きも楽しいスポットをご紹介します。

長野県北東部に位置する小布施(おぶせ)町は、人口1万人強の小さな町。しかし年間の観光客数は100万人を超えています。主なお目当ては豊かな自然と「北斎」と「栗」です。

「北斎」は、言わずと知れた絵師、葛飾北斎のこと。地元の豪農商で自らも絵を描いた高井鴻山が北斎を招き、北斎もそれに応えるようにこの地で創作を重ねました。初めて北斎が訪れた時は、なんと80歳超。鉄道も車もない時代、江戸から小布施まで徒歩で4度も訪れたというから驚きです。

また、北斎といえば版画が有名ですが、街の中心部に位置する「信州小布施 北斎館」には北斎の肉筆画が多く展示されており、祭屋台の天井絵など貴重な作品を目にすることができます。その他、前述した高井鴻山の作品が展示された記念館や、桜井甘精堂の食事処「泉石亭」の敷地内にある「小さな栗の木美術館」など、芸術関連スポットが豊富です。

街歩きもおすすめ。1980年代に街並みの修景事業が行われ、昔懐かしい風景が広がっています。中でも栗の木を敷き詰めた「栗の小径」は、土色の壁と瓦屋根が続く中、風情に浸りながらゆったりと散歩することができます。

ひとしきり歩いたら、お待ちかねの栗スイーツ。小布施は栗の名産地で、いくつもの老舗銘菓店や洗練されたレストランが栗を食材として用いたスイーツや料理を提供しています。右の画像は「小布施堂」の「栗の点心朱雀」。栗を蒸して裏ごしして、そのまま栗あんの上に盛った和スイーツです。砂糖なども一切加えず、栗本来の甘みと美味しさが凝縮。その年に採った新栗を使うため、今年は9月10日(土)~10月16日(日)の期間限定で提供されます。その他、市内各店とも趣向を凝らした和・洋の栗スイーツを提供していますので、ぜひお土産としてもご利用ください。

しっとりと落ち着いた街並みと芸術、そして栗ざんまいの休日を、ぜひ小布施で楽しんでみませんか?
小布施日和(小布施文化観光協会)

次にご紹介するのは、りんごの生産量日本一を誇る青森県弘前市。弘前城公園の桜や、「弘前ねぷたまつり」などでも有名です。その一方で、かつては北方の文明開化の拠点であったため、今でもレトロな西洋建築がいくつも残っています。

そんな街にふさわしいスイーツがアップルパイです。2009年、観光案内所に「りんごを使ったスイーツはある?」といった問い合わせが増えてきたことを受け、市内の菓子店をリサーチしたところ、アップルパイを提供している店舗が40施設以上あることがわかりました。

そこで女性スタッフが中心となって試食し、シナモンの効き具合など味や特徴をまとめた「弘前アップルパイガイドマップ」が誕生。改訂を繰り返し、現在は43件が掲載され、観光案内所等で入手することができます。洋菓子店に限らず、和菓子店やせんべい店、レストラン、カフェ、ホテルなど多彩な店舗で扱っているのは弘前ならでは。下の画像は「アンジェリック」のアップルパイです。パイから漂う発酵バターの香りと、時期に合った品種のりんご、その表面に薄く塗られたあんずジャムが絶妙のハーモニーを生み出し、地元っ子にも人気を博しています。

弘前城に隣接している「藤田記念庭園」に足を運んでみるのもおすすめです。同庭園は弘前の実業家、藤田謙一が大正時代に別荘として造ったもの。美しい庭園に加え、敷地内には赤いとんがり屋根の洋館があり、今は大正浪漫喫茶室というカフェになっています。

室内は家具も含めレトロなインテリアで統一されており、なにより嬉しいのは市内の複数店舗のアップルパイが味わえること。複数名での旅行なら、いろいろ頼んで食べ比べしてみるのも楽しそうです。お腹が満たされたら、この界隈に点在している「青森銀行記念館」や「旧弘前市立図書館」など、レトロ建築探訪をお楽しみください。

なおご存じかもしれませんが、弘前のりんご園も今月の大雨による浸水被害を受け、現在は清掃ボランティアを募るなど、地域ぐるみで日常を取り戻す活動を始めています。応援の意味も込め、この秋にぜひ観光で訪れてみてはいかがですか。
弘前観光コンベンション協会
 
 
熊本県の八代(やつしろ)駅と鹿児島県の川内(せんだい)駅を結ぶ肥薩おれんじ鉄道は、九州新幹線の新八代~鹿児島中央間の開業に伴ってJR九州から移管された第三セクター鉄道。路線自体の歴史は古く、今年は各区間で100周年を迎えるメモリアルイヤーです。

『日本に鉄道が開業して今年で150周年。そして肥薩おれんじ鉄道の西方駅~川内駅間は今年7月に開業100周年を迎えました。これを皮切りに他の区間でも次々と100周年を迎え、記念硬券セットの販売や企画列車、イベント等を随時実施する予定です。硬券きっぷは八代駅や川内駅をはじめ、複数の駅でご購入いただけます。ちなみに観光列車「おれんじ食堂」も今年度で運行開始から10周年となります』(片岡さん)

「おれんじ食堂」は、かつて「駅すぱあとアンテナ」でも紹介させていただいたことがあります。食堂列車ブームの先駆け的存在ですよね。

『はい。沿線の食材をふんだんに使い、便ごとに異なる趣向を凝らしたお料理をお楽しみいただます。地元の方とふれあうひとときや、客室乗務員による名所案内、風光明媚なスポットでの徐行運転も好評いただいていますね』(片岡さん)

気になるおすすめの観光スポットを教えてください。

『熊本では、アニメ「放課後ていぼう日誌」の舞台にもなった芦北町です。佐敷駅からレンタサイクルで気軽にアニメに出てきた場所を巡ることができ、同アニメのラッピング列車も運行中です。ちなみに芦北町は太刀魚が有名なので、ぜひ味わっていただきたいですね。鹿児島では、おれんじ鉄道線の車窓からも見える※こしき島(しま)です。2020年にこしき大橋が開通し、上こしき島、中こしき島、下こしき島がすべて繋がりました。列車の車窓から眺めた後、川内港ターミナルもしくは串木野新港から船で渡り、どこを切り取っても「100%絶景」と呼ばれている島の風景をぜひご堪能ください』(片岡さん)

胸のすくような風景ですね。本州から肥薩おれんじ鉄道へアクセスするには、どのルートが一般的ですか?

『山陽・九州新幹線を利用すると、新大阪や岡山などから乗り換えなしで気軽にアクセスできます。飛行機は、鹿児島空港から新水俣駅、水俣駅、出水駅、阿久根駅、川内駅の各駅へ、熊本空港からは八代駅へ直行のバスが出ています。なお、今年4月から「おれんじ1日フリー切符」の販売がスタートしていますので、旅のニーズに応じてご利用いただけたらと思います』

お話ありがとうございました。これからの季節は柑橘類も実り、海と柑橘畑を眺めながらのんびりとした列車の旅が楽しめるとのこと。ぜひ旅の計画を立て、出かけてみてはいかがですか。
※「こしき」は「曾」に「瓦」
 
ホームページ:https://www.hs-orange.com/
【 鉄道 】
JRは、JR時刻表2022年9月号の内容に対応
私鉄および公営は、2022年8月24日現在の時刻表に対応
【ダイヤ】
 
●名古屋市営地下鉄東山線
2022/9/17 改正
【臨時ダイヤ】
 
●JR山陽本線
2022/8/28 工事に伴う代行バス(下関~厚狭間)
●JR高山本線
2022/9/1~3 「おわら風の盆」開催に伴う臨時列車
●弘南鉄道大鰐線
2022/8/27 臨時列車運転
●御岳登山鉄道
2022/8/28 臨時便運転
●一畑電車
2022/8/28 出雲神話まつり花火大会に伴う臨時列車
●島原鉄道
2022/8/30 花火大会に伴う臨時列車
●あいの風とやま鉄道
2022/9/1~3 「おわら風の盆」開催に伴う臨時列車
●IRいしかわ鉄道
2022/9/1~3 「おわら風の盆」開催に伴う臨時列車
●ゆいレール
2022/9/2~30の平日 臨時ダイヤ
●YOKOHAMA AIR CABIN
2022/9/14 点検に伴う運休
●近鉄
2022/9/16~25の土休日 臨時特急運転
●西武池袋線、秩父線
2022/9/17~10/2 曼珠沙華まつりに伴う臨時ダイヤ
●西武池袋線、秩父線
2022/9/20~10/28の平日 不定期列車運転
   
詳細は駅すぱあと改訂情報をご覧ください。
次回2022年10月号は、2022年9月28日(水)配信予定です。お楽しみに!
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発行  株式会社ヴァル研究所 https://www.val.co.jp/
発行日 2022年8月31日(水)
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