列車の写真を撮るのが好きな「撮り鉄」や、きっぷやスタンプを集める「収集鉄」、発車メロディや走行音を聴くのが好きな「音鉄」など、鉄道ファンは好みによって分類されています。その中で、各地の路線に乗ることを楽しみにするのが「乗り鉄」です。
しかし、ひとえに乗り鉄といっても、日本全国を乗りつぶすことをストイックに目指すタイプの方もいれば、主目的は旅行や観光に据えつつ、鉄道の移動もオールマイティに楽しむタイプ、通勤や仕事など日常において移動や乗り換えに楽しさを見いだすタイプもいて千差万別です。このうち、読者の皆様は「旅行や観光を主目的にしつつ、鉄道の行程も楽しむ」方が多いのではないでしょうか。
「駅すぱあと」に携わる社員の中にも、多くの鉄道ファンがいます。その中でも生粋の乗り鉄といえる鈴木省吾、夏目雄介、廣戸晶、三上雄平の4名、通称「乗換BIG4」に、夏から初秋にかけておすすめの乗り鉄エリアを聞いてみました。
『まずは夏ということで"涼"を求める乗り鉄旅。おすすめは「立山黒部アルペンルート」を楽しむ旅です。同ルートは、富山と長野を結び、標高3,000m級の北アルプスを貫く世界有数の山岳観光ルート。その醍醐味は、鉄道、ケーブルカー、高原バス、電気バス、トロリーバス、ロープウェイなど多種多彩な交通機関を乗り継げることですね。乗り"鉄"といっても、鉄道に限る必要はありません。自由に、思い思いの旅をしていただきたいですね』(夏目)
一気にルートを駆け抜けるのもいいですが、道中の高所に位置する宿泊施設で一泊するのもおすすめ。さらに富山側と長野側、どちらからアルペンルートに入るかも考えどころのひとつだとか。ちなみに、もうひとつのルートとして、トロッコ列車で有名な黒部峡谷鉄道に乗り、欅平駅から黒部ダムまでを結ぶ新ルートが2024年に一般開放される予定です。黒部の地底に存在する電源施設群を目の当たりにしながらの旅が、いまから楽しみです!
続いて西日本のおすすめエリアとして挙がったのが、やはり注目のトピックスである西九州新幹線「かもめ」に乗る長崎の旅。
『今年9月23日(金)に武雄温泉駅~長崎駅間で運行が始まり、博多駅~武雄温泉駅を運行する在来線特急列車と同じホームで乗換を行う対面乗換方式が採用されます。開業初日には観光特急「ふたつ星4047」もデビューを飾りますし、10月3日(月)からは観光特急「36 ぷらす3」の「月曜日ルート」において、博多駅~佐世保駅の運行が始まります。行きと帰り、双方で新幹線を利用するのもよいですが、これら観光列車も駆使して、長崎や佐世保観光を巡るのもひとつの手です』(廣戸)
ちなみに乗換BIG4の一人、廣戸はすでに開業日に新幹線乗車予定とのこと。温泉地として有名ですが、これまでずっと鉄道が通っていなかった嬉野温泉に前日バスで乗り込む計画を立てています。さて、夏といえば海ですが、四国の乗り鉄旅も楽しそうですね。
『観光列車が充実していますからね。「伊予灘ものがたり」や「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり」「四国まんなか千年ものがたり」などに加え、お子さんに人気のアンパンマン列車も走っています。日程と相談しながら「今回の旅で絶対にやりたいこと」をまず決め、そこを軸に前後の行程を決めるのがよいと思います。また、どのルートで四国に入るかもポイントで、大阪方面から徳島へ向かうとすると、淡路島を抜ける高速バスや、いったん和歌山へ出てそこからフェリーで行くコースも考えられます。鉄道以外の交通機関も視野に入れると、旅のバリエーションが広がりますよ』(三上)
なるほど。一方で、首都圏からの"プチ旅"だと、どのあたりがおすすめですか?
『房総半島で、小湊鐵道からいすみ鉄道を乗り継ぐ旅はどうでしょうか。小湊鐵道では「房総里山トロッコ」も走っています。いすみ鉄道では、キハ28やキハ52といった旧国鉄の車両に乗ることもできます。キハ28はこの秋で定期運行を終了する予定です。また、私鉄がたくさん走っている群馬もおすすめです。上信電鉄、上毛電気鉄道、わたらせ渓谷鐵道などを乗り継ぎ、足尾銅山や中禅寺湖などで避暑なひとときを過ごしてもいいですね』(鈴木)
夏の乗り鉄、ぜひ皆様もトライしてみてはいかがですか?地方によっては1日2~3本しか運行してないケースもあるので、事前にしっかり計画を立てることがおすすめです。