「駅すぱあとアンテナ」2022年3月号 「田園の桜」

 
 
待ち遠しい桜の季節まで、あともう少し。今年は、田んぼやのどかな駅、茅葺き屋根など、田園らしい風景に桜が溶け込んでいるスポットをご紹介します。

田園の象徴とも言える、田んぼの風景。まずは田んぼと桜の競演が見られるスポットからご紹介します。

右の画像は、三重県津市の三多気(みたけ)地区にある「三多気の桜」。全国の「さくら名所100選」のひとつであると同時に、「美しい日本のむら景観コンテスト」で最高賞である農林水産大臣賞に選ばれた実績もあります。

この地の桜は、主にヤマザクラ。西暦900年頃、名の知られた僧侶であった理源(りげん)大師が真福院(しんぷくいん)に留まり、桜を植えたのが始まりと言われています。伊勢本街道から真福院までの参道約1.5kmにヤマザクラの並木道が続き、その一画にある棚田は人気のスポット。満開の桜が棚田の水面に写り込む風景は、格別の一言です。 例年の見頃は4月中旬から下旬にかけて。高低差があるため、比較的長い期間楽しめることも魅力です。

次にご紹介するのは、新潟県の南部に位置する十日町市。棚田に詳しい方は、ピンとくるかもしれません。十日町市の松代地域には古くから棚田が点在し、総称して「越後松代棚田群」と呼ばれています。

中でも有名なのは、約200枚もの水田が斜面に連なり、スケールの大きな風景が広がる「星峠の棚田」、朝霧が発生しやすく幻想的な写真が撮れる「蒲生の棚田」、そして左の画像の「儀明(ぎみょう)の桜」です。

田んぼの畔に立つ桜が水鏡に移り込む姿はこの上なく美しく、早朝、日中、夕方、薄暮とそれぞれ違った表情を見せてくれます。年によっては残雪の中で満開となることもあるのだとか。4月末から5月の連休にかけてが見頃となります。

その他、島根県浜田市の「井川の一本桜」や奈良県宇陀市の「諸木野の桜」、千葉県市原市の飯給(いたぶ)駅周辺の桜なども、水田に移り込む桜を眺められます。美しい田園の春をお楽しみください。
三多気の桜(津市観光協会)
儀明の桜(にいがた観光ナビ)

ひっそりたたずむ田舎の駅、そのホームに桜の花びらが舞い散る風景も、日本人の心を打つものです。

まずは石川県を走る第三セクター、のと鉄道七尾線。鳳珠郡穴水町にある能登鹿島駅は、通称「能登さくら駅」とも呼ばれています。

普段は物静かな無人駅ですが、春になると構内に植えられた数十本の桜が開花し、ひと目見ようと多くの方々がこの地を訪れます。昭和7年に七尾線が開通した際、地元の方々によって植樹された桜は立派に育ち、トンネルをかたち作って列車をホームに迎え入れています。

もうひとつ、同駅をおすすめする理由は、海に面していること。ホームのすぐ向こう側には静かな七尾湾が広がり、例年見頃となる4月中旬から下旬にかけて、海、桜、駅の競演が楽しめます。のと鉄道の観光列車「のと里山里海号」でのんびりと訪れると、より風情を味わえそうです。

次は、青森県を走る津軽鉄道の芦野公園駅。鉄道ファンには「桜咲く駅」として、よく知られた存在です。

芦野公園は、文豪・太宰治が幼少の頃によく遊んだ場所。小説「津軽」にも同公園と駅の名が登場しています。「さくら名所100選」に選ばれており、春になると約1,500本の桜が咲き誇ります。

芦野公園駅も、そんな公園の中に位置しています。ホームや線路の脇にも桜が植えられ、その中を津軽鉄道の「走れメロス号」が走る姿は、鉄道ファンならずとも写真を撮りたくなることでしょう。また、昭和5年の開通時に建てられ、昭和50年に現在の駅舎が設置されるまで駅舎として活躍した建物も保存されており、喫茶店「駅舎」として第二の人生を送っています。木造平屋建てで、随所に洋風の意匠が施されたモダンな姿と桜の相性も抜群です。

桜と駅のコントラストを満喫できるスポットは、JR四国牟岐線の阿波赤石駅をはじめ、松浦鉄道西九州線の浦ノ崎駅、天竜浜名湖鉄道の都田駅、JR中央本線の勝沼ぶどう郷駅など、全国に点在しています。お近くにそんなスポットがあれば、足を運んでみてはいかがでしょうか。
能登さくら駅(能登鹿島駅)(ほっと石川 旅ネット)
芦野公園(青森県観光情報サイト)

今でこそ、あまり見かけなくなった茅葺き屋根の家屋。一方で、古き良き田園の象徴を保全・復元する動きもあり、中には満開の桜が彩りを添えるスポットもあります。

富士五湖のひとつである西湖の湖畔に、かつて約40軒の民家が居並ぶ根場(ねんば)という美しい集落がありました。風景を一変させたのは、昭和41年、記録的豪雨に伴って生じた土石流。集落ごと消滅する被害に遭い、住民たちは移転を余儀なくされました。

そこから長い年月を経て、かつての原風景を復活させる動きが高まり、2006年に生まれたのが「西湖いやしの里根場」です。古材を用いて約20軒の家屋が建てられ、炭焼き小屋や養蚕室も再現。富士山を背景とした、のどかな風景がよみがえりました。それぞれの家屋は、資料館や食事処、工芸体験教室等として使われており、文化を体感できる観光スポットとなっています。

桜の見頃は例年4月中旬から5月の連休にかけて。満開のしだれ桜が迎えてくれます。

次は京都府の京都市と小浜市の中間に位置する南丹市美山町。江戸時代から明治時代にかけて建てられた茅葺き屋根が多く残り、「かやぶきの里」の名で観光スポットとなっています。

50戸の家屋のうち、39棟が茅葺き屋根。その保存性の高さから1993年に、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。地区内にある美山民俗資料館では母屋や納屋、蔵が公開され、かつての農機具や生活道具など約200点以上が展示されています。

その他、食事処や茶寮、土産物屋、宿、美術館などもあり、道端には丸いポストやお地蔵様、大きなしだれ桜の姿も。眺めながらの散策も楽しい一方で、保存や暮らしぶりなどの知識が深まるガイドツアーも展開しています。

ちなみに、前述した「駅」と「桜」に加えて「茅葺き屋根」までいっぺんに満喫できるスポットとして、「東北の駅百選」にも選ばれている湯野上温泉駅もおすすめです。

同駅は、福島県南会津郡にある会津鉄道会津線の駅。その駅舎は、近隣の有名観光スポットである大内宿にちなみ、茅葺き屋根となっています。温泉街の中に位置していることもあり、駅にも足湯が完備されている点も特徴のひとつ。のんびりと浸かりながら、約30本のソメイヨシノが咲き誇る姿と列車を眺めることが可能です。

例年の見頃は4月下旬から5月上旬にかけて。古き良き日本の風情をご堪能ください。
西湖いやしの里根場
京都美山 かやぶきの里
湯野上温泉駅(会津鉄道)
 
 
 
 
   
【 鉄道 】
JRは、JR時刻表2022年2月号の内容に対応
私鉄および公営は、2022年2月15日現在の時刻表に対応
【ダイヤ改正】
●神戸電鉄
2022/3/12 変更
●紀州鉄道
2022/3/12 改正
【臨時ダイヤ】
 
●流鉄
2022/2/19 一部列車時刻変更
●大阪モノレール
2022/2/19 Jリーグ開催に伴う臨時列車運転
●アストラムライン
2022/2/19 Jリーグ開催に伴う臨時列車運転
●仙台市地下鉄東西線
2022/2/25 大学入試に伴う臨時列車運転
●近鉄大阪線
2022/2/25 大学入試に伴う大阪教育大前駅臨時停車
●京王
2022/3/5~6 「Mt.TAKAO」運転
   
詳細は駅すぱあと改訂情報をご覧ください。
次回2022年4月号は、2022年3月30日(水)配信予定です。お楽しみに!
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発行  株式会社ヴァル研究所 https://www.val.co.jp/
発行日 2022年2月23日(水)
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