「駅すぱあとアンテナ」2022年2月号 「2022年の鉄道ニュース」

 
 
2022年も、興味深い鉄道関連のニュースが目白押しです。西九州新幹線をはじめ、今年デビューする新型観光列車や、惜しまれつつも引退を迎える車両などをご紹介します。

まずは新幹線のニュースから。2022年秋頃、西九州新幹線が暫定開業となります。

開業時、新幹線が走るのは佐賀県の武雄温泉駅と長崎駅の区間。博多駅と武雄温泉駅の区間は在来線特急で運行され、武雄温泉駅のホームで乗り換える対面乗換方式となります。鹿児島ルートの新幹線も、まずは八代駅と鹿児島中央駅間で開業し、博多駅から新八代駅は在来線特急で結んでいたため、同じような方式だといえます。

これにより、現在は1時間50分を要する博多駅~長崎駅間が約1時間20分となり、約30分の短縮となります。列車名は、これまで九州で名前を馳せていた「かもめ」。現在、長崎駅発着の特急「かもめ」はなくなり、その名は新幹線に受け継がれることになります。車両は、JR東海が投入しているN700Sをベースに、JR九州のコーポレートカラーである赤色があしらわれたデザイン。コンパクトな6両編成で運行されます。

西九州新幹線の開業と時を同じくして、新たな観光列車も登場します。その名も「ふたつ星4047」。佐賀県と長崎県の二県を"ふたつの星"と見立て、西九州の観光に新たな楽しみをもたらします。「4047」という数字は、採用されるキハ40、47形の車両が由来です。

同列車のコンセプトは「西九州の海めぐり列車」。内陸を走る西九州新幹線に対して、「ふたつ星4047」は主に海沿いを走ります。そして運行ルートも"ふたつ"。午前発は、武雄温泉駅から有明海に面した長崎本線を経由して長崎駅へ。午後発は、長崎駅から大村湾沿いを走る大村線と佐世保線を経由して、武雄温泉駅へ向かいます。

有明海は、日本一の干満差を誇り、干潟で知られる海。一方、大村湾は四方がほぼ陸に囲まれ、静かに打ち寄せる波の音が琴の音色に似ていることから「琴の海」とも呼ばれています。

西九州新幹線でアクセスできる佐賀県の名湯・嬉野温泉をはじめ、大村湾沿いを走るルートは佐世保観光やハウステンボスへのアクセスにも便利。将来的には、武雄温泉駅~新鳥栖駅間が整備されることで、新大阪駅までの直通運転が実現する予定です。

バリエーションが広がる西九州の鉄道旅行に、想いを馳せてみてはいかがですか。
西九州新幹線
ふたつ星4047

次は、2022年にデビューやリニューアルを行う観光列車のご紹介です。

まずは、近畿日本鉄道の新型観光特急「あをによし」。コロナ禍が収束した後のインバウンド需要復活を見据え、2022年4月29日にデビューします。大阪、奈良、京都の三都を乗り換えなしの直通で結びます。

午前中は、大阪難波駅から近鉄奈良駅を経由して京都駅まで。その後、京都駅~近鉄奈良駅間の2往復を経て、最後に京都駅から近鉄奈良駅経由で大阪難波駅へアクセスします。週6日の運行で、夏休みやゴールデンウィークなどは毎日運行となる予定です。

美しい都を彷彿とさせる列車名と、高貴な色とされる紫色を基調とし、天平文様をあしらった外観。座席は2名用のツインシートと、3~4名用のサロンシートがあり、ゆったりとくつろぎながら三都を巡ることが可能です。

JR四国の観光列車で注目したいのは、JR予讃線の松山駅~伊予大洲駅・八幡浜駅間を走る「伊予灘ものがたり」。2014年にデビューし、伊予灘の美しい景色を眺めながら地元食材を駆使した料理が楽しめる列車として人気を博しました。

旧国鉄のキハ47形を改造し、JR四国初の本格的な観光列車といえた同列車は、老朽化によって昨年12月27日、ラストランを迎えました。そして2022年春、列車名はそのままに新車両となり、再デビューを果たします。

車両は3両編成で、最も特徴的なのは3号車。現行の2両から1両増えた車両には、定員8名のグリーン個室1室(ラグジュアリールーム)が配置されます。海向きのテーブルは鏡面仕様となっており、写り込んだ青い空が車窓に広がる青い海とシンクロし、車内が外の景色と一体となるような演出が施されます。

次は、JR西日本が2022年7月に運行をスタートさせる予定の観光列車「SAKU美SAKU楽(さくびさくら)」です。岡山県北エリアに向け、津山線の岡山駅~津山駅などのルートで運行します。

車両は、キハ40系気動車を改造した1両編成。右の画像は開発中のイメージですが、外観は淡いピンク色で統一される予定です。観光列車のほか、定期列車としても運用されるとのこと。観光列車として運行する際は、食事ができるテーブルやゆったりとした配席で、地元の食材を活かしたオリジナルのお弁当などが提供されます。

1970年代から80年代初頭にかけて製造されたキハ40系気動車は、老朽化に伴って次々と姿を消し、新型車両への置き換わりが進んでいます。その中で、新たな人生をスタートさせた「SAKU美SAKU楽」。うららかな休日に、のどかな旅を楽しみたいものです。
あをによし(近畿日本鉄道)(PDF)
伊予灘ものがたり(JR四国)
SAKU美SAKU楽(JR西日本)(PDF)

2022年に予定されている、その他の鉄道ニュースもご紹介します。

まずは、惜しまれつつも引退を迎える車両から。2022年3月11日(金)、小田急電鉄の「特急ロマンスカー・VSE(50000形)」が、通常ダイヤでの定期運行を終えます。

「VSE」のデビューは2005年。シルキーホワイトを基調とした美しい外観と、ロマンスカーの代名詞といえる展望席、高い天井に約4mの連続窓、ゆとりあるシートピッチによる高い居住性などを備え、"旅の工程そのものを楽しむ"ことができる列車として高い人気を誇りました。

定期運行終了となった理由は、車両の経年劣化や主要機器の更新が困難になる見込みであること。2022年1月29日(土)からラストランまで、車体には記念装飾が施されます。

一方、西九州新幹線がお目見えとなるJR九州では、特急「はやとの風」が、2022年3月21日(月・祝)にラストランを迎えます。

肥薩線の吉松駅と鹿児島中央駅を結ぶ同特急は、ダイナミックな車窓を楽しめる展望スペースをはじめ、木の温もり溢れる客室が魅力。さらに、桜島を背景とする錦江湾沿いを走り、明治36年に開業した嘉例川駅や、太平洋戦争時の戦火を逃れた大隅横川駅などの沿線風景と、漆黒のボディで走る「はやとの風」がマッチして、ノスタルジックな旅を満喫できました。

運転終了後、「はやとの風」の予備車両は、先ほど紹介した「ふたつ星4047」に生まれ変わります。佐賀・長崎に場所を移し、魅力ある鉄道の旅を支えてくれることになります。

喜ばしい"再開"のニュースもあります。全国屈指の秘境路線といえるJR只見線です。福島県会津若松駅と、新潟県の小出駅まで36駅、135,2kmを結ぶ路線が、2022年秋に全線で運転再開となる予定です。

2011年7月、東日本大震災で甚大な被害を受けた福島県。さらに同年7月に発生した新潟・福島豪雨で、只見線は橋梁の流出や、土砂崩れによる線路の崩壊などの被害を受けました。その後、懸命な復旧作業によって大部分で運行が再開されたものの、被害が大きかった会津川口駅~只見駅間は代行バスの運行が続いています。11年ぶりの全線復旧で、秋の紅葉や冬の雪深い情緒を車窓からゆったりと味わってみたいところです。

心置きなく鉄道の旅が楽しめる日が来ることを祈りつつ、ぜひ皆様も旅のイメージを膨らませてみてはいかがですか。
特急ロマンスカー・VSE
特急はやとの風
JR只見線
【 鉄道 】
JRは、JR時刻表2022年2月号の内容に対応
私鉄および公営は、2022年1月20日現在の時刻表に対応
【臨時ダイヤ】
●JR山口線
2022/2/1~4 工事に伴う代行バス(日原~益田間)
●JR山陽本線
2022/2/14 工事に伴う代行バス(岩国~柳井間)
●JR山陰本線
2022/2/15~18 工事に伴う代行バス(東萩~長門市間)
●JR奈良線
2022/2/26 線路切替工事に伴う代行バス(宇治~棚倉間)
●伊予鉄道
2022/1/22~2/6 「坊っちゃん列車」運休
●多摩モノレール
2022/2/10・15 中央大学入学試験に伴う臨時列車運転
●東京モノレール
2022/2/11 工事に伴う夜間一部運休
【運賃】
●遠州鉄道
2022/2/1 改定
   
詳細は駅すぱあと改訂情報をご覧ください。
次回2022年3月号は、2022年2月23日(水)配信予定です。お楽しみに!
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発行日 2021年1月26日(水)
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