「駅すぱあとアンテナ」2023年5月号 「鯉泳ぐ風景」





 
心安らぐ五月の風景といえば、子どもの成長を願う鯉のぼり。あまり見かけなくなった今だからこそ、たくさんの鯉のぼりが泳ぐ風景を眺めに行きませんか?

まず最初の舞台は、高知県を流れる四万十川です。手つかずの自然と透明度の高さ、伝統的な技法で行われるアユ漁、そして沈下橋。河岸を覆うコンクリート構造物もないことからその風景は昔さながらで、"日本最後の清流"と呼ばれているのも頷けます。

そんな四万十川の五月といえば鯉のぼり。4月16日(日)から5月13日(土)にかけて四万十町十川(とおかわ)のこいのぼり公園にて「こいのぼりの川渡し」が開催されています。

川の両岸をワイヤーで繋ぎ、川の上を泳ぐようにみせる「川渡し」は今でこそ全国各地で行われていますが、その発祥はここ十川。「僕らが大きくなると家で鯉のぼりを上げてくれんようになる」と嘆いたソフトボール少年達の声を聞き、十川体育会の大人達が「じゃあ家から持ってこい。まとめて上げちゃうき!」と、昭和49年に両岸をワイヤーで渡し、約50匹を上げたことが始まりだそうです。

その後、話題となって鯉のぼりの寄付も相次ぎ、今では500匹あまりの鯉のぼりがたなびくようになりました。対岸の山と山を豪快に繋ぎ、清流・四万十川のはるか上空を泳ぐ鯉のぼりの姿は圧巻の一言です。

続いての鯉泳ぐ風景は、熊本県阿蘇郡小国町の杖立(つえたて)温泉。大分と熊本の県境を流れる杖立川の峡谷に位置する温泉郷です。

もうもうと湯けむりがあがるこの地は、古くから湯治場として利用され、かつては"九州の奥座敷"として栄えていました。現在は昭和の風情が色濃く残る温泉地として注目を集め、毎年春に開催される「杖立温泉鯉のぼり祭り」には多くの観光客が訪れています。

この温泉郷の町並みは「背戸屋(せどや)」と呼ばれる独特のもの。増改築が繰り返された家々がひしめく間に、昭和の時代を彷彿とさせる細い路地がいくつも伸びています。個人宅で鯉のぼりを上げるスペースがなかったことが、鯉のぼり祭りが始まったきっかけ。今では杖立川の上空に3,000匹以上の鯉のぼりが泳ぎ、全国にその名を轟かせています。

今年の開催は5月6日(土)まで。夜間はライトアップも実施されています。レトロな温泉郷に映える色とりどりの鯉のぼりを眺めに行ってみてはいかがですか。
こいのぼりの川渡し(四万十町役場)
杖立温泉

次にご紹介するのは、"大空を泳ぐ"のではなく、実際に川の中を泳ぐ珍しい鯉のぼり。金沢の「浅の川鯉流し」です。

金沢城の東、観光名所の「ひがし茶屋街」からも程近い位置に流れる浅野川は、金沢きっての癒しスポット。城の南西を流れる犀川が豪快な流れから「男川(おとこがわ)」と呼ばれるのに対し、穏やかな浅野川は「女川(おんながわ)」と呼ばれています。

浅野川に架かる浅野川大橋は、国の登録有形文化財に指定されている美しいアーチ橋。古き良きものを大切にする金沢の風土に守られ、2022年には100周年を迎えました。そんな大正浪漫を感じる風景の中、浅野川大橋から梅ノ橋にかけて「浅の川・鯉流し」が行われます。開催日は例年ゴールデンウィーク中の一日限定。2023年は5月4日(木・祝)の開催予定です。

地元の住民から寄付された鯉のぼりを川に流し始めたのは2010年のこと。金沢といえば着物の伝統的な染色技法「加賀友禅」がおなじみです。染めた反物についた余計な糊や染料を落とす際、かつては川で洗われていました。そのイメージと重ねる意味合いで、世にも珍しい「鯉流し」が行われています。上流に向かって泳ぐ鯉の力強さと凛々しさを、五月の爽やかな風の中でぜひ感じてください。

また、山口県防府市(ほうふし)を流れる佐波川(さばがわ)でも2008年から「こいながし」が行われています。川幅が広く透明度の高い清流であることと、周囲が山と緑に囲まれたロケーションであることから、悠々と泳ぐ鯉の姿がとてもよく映えます。2023年は5月3日(水・祝)~5月5日(金・祝)にかけての開催です。

その他、茨城県常陸太田市の竜神大吊橋に並行して鯉が架かる「竜神峡鯉のぼりまつり」や、群馬県館林市の約4,300匹の鯉のぼりが上がる「こいのぼりの里まつり」、高さにちなんだ数の鯉のぼりが上がる東京タワーの「333匹の『鯉のぼり』と『さんまのぼり』」、七里御浜海岸約1kmにわたり海に向かって泳ぐ鯉のぼりが掲げられる三重県熊野市の「泳げ!鯉のぼりくん」など、全国各地で鯉のぼりイベントが行われます。ぜひ一度、眺めに行ってはいかがですか。
浅の川・鯉流し(金沢旅物語)
佐波川こいながし(山口県観光連盟)
 
 
日本で唯一、リニアモーターカーに乗れる場所といえばココ。愛知県名古屋市の藤が丘駅と、豊田市の八草駅をつなぐ愛知高速交通の東部丘陵線です。全長8.9kmを17分で結んでいる磁気浮上式リニアモーターカー「Linimo(リニモ)」は、2005年の「愛・地球博」開催と同時期に開業。その際、近未来を彷彿とさせる"走るパビリオン"として大きな注目を集めました。

『Linimoはレールと接触せずに浮き上がって走行しているので、騒音や振動が小さく乗り心地が良いメリットがあります。高いところを走っているので眺めも良くて、自動運転により基本的に運転士がいないため、一番先頭の席では前面の眺めを楽しむことができますよ。開業当初は「愛・地球博」のメインアクセスとなり、国内外からのお客様を会場まで運びました。その頃、私は小学生だったのですが、会場へ向かうLinimoに浮き立つ気持ちで乗車したことを覚えています。当時は本当に多くの方にご利用いただき、Linimo待ちの列が駅の外まで伸びるほどでした。万博終了後は利用者数が落ち込みましたが、2017年以降は沿線に大型商業施設が開業し、最近はジブリパーク開業に伴って、遠方からのお客様が増えましたね。同時に沿線の大学や高校へ向かう地域の足としてもご利用いただいています』(瀬古さん)

Linimoでの通学は、なんともうらやましいです。万博をきっかけに様々なお客様が利用されたのですね。現在も「愛・地球博」の長久手会場が「愛・地球博記念公園(モリコロパーク)」として憩いの場になっています。

『そうですね。自然が豊かで大きな観覧車や芝生広場、サイクリングコースなどもあり、週末にはグルメイベントやマルシェなどもよく開催されています。さらに今、注目を集めているのが昨年11月にオープンした「ジブリパーク(第一期)」です。ジブリ作品の展示物が見られる「ジブリの大倉庫」、映画「耳をすませば」の舞台をイメージした「青春の丘」、博覧会の頃からずっと人気の「サツキとメイの家」を含む「どんどこ森」など、見どころがたくさんありますよ』(瀬古さん)

「ジブリパーク」、ぜひLinimoで訪れてみたいです!沿線には他にどんなスポットがありますか?

『芸大通駅が最寄りとなる「トヨタ博物館」には、19世紀から現在までの国内外の代表的な自動車が約140台も展示されています。展示資料も豊富で、クルマ好きな方におすすめです。あとは、長久手(ながくて)古戦場でしょうか。かつて羽柴秀吉と徳川家康が戦った地ですね。現在は「古戦場公園」として整備されていて、毎年4月には桜まつりも開催されています。歴史が好きな方にぜひ訪れてほしいですね』 (瀬古さん)

長久手の戦いは現在放送されているNHK大河ドラマにも登場しそうですね。

『はい。他にもご当地の新鮮な農産物が揃う「あぐりん村」や「長久手温泉ござらっせ」も人気ですよ。「モリコロパーク」の自然をはじめ、古戦場のような古い歴史から「トヨタ博物館」で触れる近代、そしてLinimoの現在・未来と、古いモノと新しいモノが混ぜ合わさっている沿線といえるかもしれません。いろいろ巡りたい方は、自由に乗降できて様々な施設で利用できる特典付きの「1DAYフリーきっぷ」をお求めいただいて、旅行を楽しんでいただきたいですね』 (瀬古さん)

お話、ありがとうございました!過去にも未来にもタイムスリップできるような旅、ぜひ計画を立ててみてはいかがですか?
Linimo(リニモ)愛知高速交通株式会社:
https://www.linimo.jp/
【 鉄道 】
JRは、JR時刻表2023年5月号の内容に対応
私鉄および公営は、2023年4月17日現在の時刻表に対応
【ダイヤ】
 
●東京メトロ銀座線
2023/4/29 改正
●大井川鐵道本線代行バス
2023/5/8 変更
【臨時ダイヤ】
 
●皿倉登山鉄道
2023/4/20~21 点検に伴う運休
●アストラムライン
2023/4/22 臨時列車運転
●大阪モノレール
2023/4/22~23 臨時列車運転
●京王線、競馬場線
2023/4/22~6/25の土休日(5/3~5を除く) 競馬ダイヤ
●多摩モノレール
2023/4/29 沿線大学授業日に伴う臨時列車運転
●仙台市地下鉄東西線
2023/4/29~6/25の土休日 緑化フェア開催に伴う臨時ダイヤ
●ゆりかもめ
2023/5/3~6 GW期間の臨時ダイヤ
●西武池袋線、秩父線
2023/5/13~14 秩父ジャズフェスティバル開催に伴う臨時ダイヤ
●長野電鉄
2023/5/13~14 特急「スノーモンキー」代替運転
●西武秩父線
2023/5/13~6/11の土休日 一部特急列車の芦ケ久保駅臨時停車
●東武日光線、鬼怒川線
2023/5/18 一部列車の時刻変更
●西武池袋線
2023/5/20~28の土休日 サイクルトレイン運行に伴う一部列車の飯能駅番線変更
詳細は駅すぱあと改訂情報をご覧ください。
次回2023年6月号は、2023年5月31日(水)配信予定です。お楽しみに!
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発行  株式会社ヴァル研究所 https://www.val.co.jp/
発行日 2023年4月26日(水)
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