「駅すぱあとアンテナ」2021年11月号 「色づく童話の森へ」





 
紅葉の季節がやってきました。今年は、童話のように幻想的な風景が広がる"森"に注目。そこに紅葉が加わると、さらに美しく、不思議な雰囲気が漂います。非日常の世界へ、足を運んでみませんか?

まずは、福岡県糟屋郡篠栗町に広がる篠栗九大(ささぐりきゅうだい)の森。九州大学の福岡演習林の西端に位置し、篠栗町と九州大学が共同で整備・管理しています。

約17ヘクタールの森は、スダジイ、アラカシ、タブノキ、クスノキなど約50種の常緑広葉樹と、コナラやネジキハゼノキなど約40種の落葉広葉樹で覆われています。森の中心に広がる蒲田池の周り約2kmは遊歩道として整備されており、誰でも散策することが可能。ただし公園ではないので、遊歩道を外れて歩いたり、植物や昆虫を採取することはできませんのでご注意ください。

童話のような世界を作り出しているのは、水辺に立つラクウショウの木々です。漢字で書くと「落羽松」となるこの木は、湿地や水に浸かる場所でも育つことから沼杉(ヌマスギ)という別名で呼ばれることもあります。

篠栗九大の森のラクウショウは、根元が円錐状に発達しているところが特徴的。常に水に浸かっているのではなく、一定量の雨が降ると根が冠水し、写真のような風景に出会うことができます。

北米原産の落葉針葉樹であるラクウショウはメタセコイアに似ており、秋になると葉がオレンジに染まります。例年の見頃は11月。森にはモミジバフウやタイワンバフウという落葉樹もあり、紅葉を眺めつつの散策ができるようになっています。

ちなみに、ラクウショウの周囲に、小さな木の根がいくつもニョキニョキと立っている姿が見られることもあります。水に浸かった根は十分に酸素を取り入れられないため、気根(呼吸根)となって地上に顔を出している仕組みです。

篠栗九大の森以外でラクウショウが見られる地として有名なのは、鹿児島県薩摩川内市にある藺牟田池(いむたいけ)自然公園。この池は外輪山に囲まれた火口湖で、そのほとりには写真のようにラクウショウがいくつも立っています。また、兵庫県加東市の播磨中央公園にはラクウショウの並木道があり、例年11月中旬から12月上旬にかけて紅葉の見頃を迎えます。

その他、東京都足立区の舎人公園、新宿区の新宿御苑、文京区の小石川植物園などでもラクウショウの木に出会うことができます。色づく季節に、眺めに行ってみてはいかがですか。
篠栗九大の森(篠栗町)
藺牟田池自然公園(鹿児島県観光連盟)

山形県と秋田県にまたがる鳥海山は、東北では2番目の標高2,236mを誇る名峰。山麓のブナの原生林が広がるエリアは「中島台レクリエーションの森」として整備され、1周約5kmの遊歩道で森林浴を楽しむ多くの人々が訪れています。

その中でもひときわ異彩を放っているのが、写真のブナです。樹齢300年、幹回り7.62mの巨大なブナは「あがりこ大王」と呼ばれています。

「あがりこ」とは、地面のすぐ上で、子どもの枝が分岐しているという意味。江戸時代末期から昭和にかけて行われていた炭焼きのために枝が伐採され、切られたところから再び芽が出て成長を続けたことが、こうした樹形になった理由だと言われています。童話の世界であれば、森の王様として今にも喋り出しそうな雰囲気です。

「あがりこ大王」に限らず、他のブナも個性的な樹形をしています。中には、1本の木から十数本の幹が伸び、まるで子だくさんの女性のように見えることから「あがりこ女王」と名付けられたブナもあります。

紅葉の見頃は、例年11月上旬までで、今がまさにピークです。ブナは紅葉というよりも"黄葉"で、赤くならずに黄色から黄金色へと移り変わります。その色彩も、どこか西洋の童話のようであり、異形のブナとマッチしているように思えます。

なお、森には「出つぼ」と呼ばれる池をはじめ11ヵ所の湧水池があり、そこから流れ出た伏流水が獅子ヶ鼻湿原を作り出しています。この湿原には貴重なコケが存在し、水の中でボール状に発達した「鳥海まりも」は、獅子ヶ鼻湿原でしか見ることができません。

それではここで、他の地域でブナが見られる場所を紹介しましょう。右の写真は、新潟県十日町市に広がるブナ林。「あがりこ大王」とは打って変わって、樹齢約100年のブナの幹がまっすぐ、すらりと伸びています。その美しさから、ついた名前が「美人林」。紅葉のシーズンは、例年11月初旬から中旬にかけてで、林全体がオレンジに色づきます。

その他、滋賀県高島市の朽木・葛川県立自然公園区域に広がる「生杉のブナ原生林」や、長野県と新潟県をまたぎ、「森太郎」「森姫」と呼ばれるブナの巨木が立つ鍋倉山なども、メルヘンの世界を彷彿とさせる森の風景を満喫できます。お近くの方はぜひ足を運んでみてはいかがですか。
あがりこ大王 中島台レクリエーションの森(にかほ市)
美人林(十日町市観光協会)

自然豊かなテーマパークの中にも、童話に出てくるような森の風景に出会えるスポットがあります。

まずは埼玉県飯能市に位置する「トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園」です。北欧の童話作家、トーベ・ヤンソンといえば、言わずと知れた「ムーミン」の作者。園内にブランコなどの遊具はありませんが、ムーミンの住む屋敷を表現した「きのこの家」や、ぐにゃりと曲がったドーム型の「子ども劇場」など、ムーミン谷を思わせるような建物が点在しています。

特に人気を博しているのは紅葉シーズンです。見頃は例年11月下旬から12月上旬までで、園内および周囲の森が錦秋に包まれます。メタセコイアの並木道やイチョウの木々も見どころのひとつで、近くに建っている「スナフキンの水遊び小屋」とのコントラストは美しいの一言。多くの人がここで写真を撮っています。

なお現在、「きのこの家」「森の家」は密を避ける目的で室内に入ることはできませんが、緊急事態宣言の解除に伴い、土・日・祝日に限りライトアップが再開しています。夜の幻想的な世界も、大いに魅力的です。

次にご紹介するテーマパークは、富士山の眺めが美しい山梨県北杜市の「ハイジの村」です。

かつては山梨県立フラワーセンターの名称で呼ばれていましたが、現在はアニメ「アルプスの少女ハイジ」の世界を踏まえ、ハイジの故郷であるスイスの村を再現。異国情緒漂う建物の数々をはじめ、スイスのチーズ料理が楽しめるレストランや、ヤギと触れ合えるエリア、ハイジとおじいさんが暮らしていた山小屋などが点在しています。ホテルや天然温泉施設もあり、泊りがけでゆっくりと過ごすことも可能です。

もちろん、季節の花々も健在で、今は秋バラのシーズンを迎えています。そして紅葉のシーズンは例年11月。園内の木々が赤や黄色に染まります。家の壁に這うツタの紅葉も見どころのひとつです。

手つかずの自然の中で感じる童話世界とはひと味違った、牧歌的な雰囲気をお楽しみください。
トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園
ハイジの村
 
 
 
       
【 鉄道 】
JRは、JR時刻表2021年11月号の内容に対応
私鉄および公営は、2021年10月15日現在の時刻表に対応
<臨時ダイヤ>
●JR山陽本線
2021/10/25・11/22 工事に伴う代行バス(厚東~厚狭間)
●JR山陽本線
2021/11/8・29 工事に伴う代行バス(岩国~柳井間)
●JR芸備線
2021/11/9~12 工事に伴う代行バス(下深川~中三田間)
●JR山陰本線
2021/11/9~12 工事に伴う代行バス(東萩~長門市間)
●あおなみ線
2021/10/20~23・27~29 臨時列車運転
●流鉄
2021/10/23 一部列車時刻変更
●近鉄名古屋線
2021/10/23~2022/5/29の土休日・2021/12/24 一部急行列車の近鉄長島駅臨時停車
●東武日光線、鬼怒川線
2021/11/3~14の土休日・21・27・28 JR直通臨時特急列車運転に伴う一部列車の時刻変更
●YOKOHAMA AIR CABIN
2021/11/10・12/8 点検整備に伴う運休
●西武池袋線、新宿線
2021/11/13 団体臨時列車運転に伴う一部列車の時刻・番線変更
●千葉モノレール
2021/11/27 工事に伴う臨時ダイヤ
●秩父鉄道
2021/12/24~26・2022/1/1~3・8~10 「SLパレオエクスプレス」運転日追加
   
詳細は駅すぱあと改訂情報をご覧ください。
次回2021年12月号は、2021年11月24日(水)配信予定です。お楽しみに!
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発行  株式会社ヴァル研究所 https://www.val.co.jp/
発行日 2021年10月27日(水)
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