いまは、二十四節気(にじゅうしせっき)でいうところの「大寒(だいかん)」です。今年は1月20日に大寒に入り、2月3日の「立春」まで続きます。立春の前日が、季節の分かれ目を意味する「節分」です。
「大寒」は読んで字のごとく、一年で最も寒くなる時期として名づけられました。この寒さを利用して、酒や味噌、凍り豆腐、寒天などをつくる「寒仕込み」が行われる時期でもあります。また、大寒が始まる日に産まれた卵は「大寒の卵」と呼ばれ、金運や健康運を向上させる縁起物として珍重されてきました。小寒から大寒にかけて産まれた「寒卵」も、滋養に良いとされています。
寒さだけでなく、大気が乾燥していることも冬の特長のひとつ。風邪を引きやすくなったり、肌が荒れたりと、乾燥にはあまり良いイメージがありませんが、あえて乾燥がもたらす恩恵を挙げるなら、「冬の景色の美しさ」が挙げられるのではないでしょうか。
大気中に水蒸気が多く含まれていると、その中を進む光が水の分子にぶつかり、散乱します。逆に乾燥していると光の散乱が減り、遠くの景色もクリアに見渡せることになります。冬の夜空の星がくっきりとみえるのも、大気の乾燥と、明るい星が多いことに起因しています。
また、水蒸気が冷えて固体化し、氷の結晶となって物体に付着したものが「霜(しも)」です。霜ができる気温の目安は4℃以下。天気予報が伝える気温は地表から150cm程度の高さで計っているため、4℃と報じられた場合、地表は氷点下まで落ちているというわけです。なお、霜は「降(ふ)る」ではなく「降(お)りる」と表現します。天高くから降ってくるのではなく、空気中の水蒸気が氷点下になった物体に付着してできるためです。
一方で雪は、雲の中で生じた氷の粒が、水蒸気を伴って重くなり、落ちてきたもの。落ちてくるまでの水蒸気の量や雲の高さ、気温などによって、結晶の形が変わってきます。その結晶を観察してみるのもおすすめです。スマートフォンに、100円ショップで売っているマクロレンズを装着し、「降りたての雪」を最大ズームにして接写すると、結晶の形をみることができます。手ブレ防止のため、連写機能を使ってみましょう。
寒さが和らぐ季節が待ち遠しいですが、身の周りで発見できる冬ならではの風情を満喫してみてはいかがですか。