岡山県の北東部にて、複数の路線を運行している(株)美作(みまさか)共同バス。その沿線には自然や歴史の魅力がギュッと詰まっています。智頭急行の大原駅とJR姫新線の勝間田駅を結ぶバス路線でアクセスできる人気スポットといえば、やはり湯郷(ゆのごう)温泉でしょうか。
『1200年の歴史を持つ、全国的にもよく知られている温泉です。薬効が期待できるとして、古くから湯治場としても利用されてきました。湯もさることながら、車で8分ほどの距離にある大山展望台からの風景も魅力のひとつです。温泉街や1級河川の吉野川、遠くには岡山県最高峰の後山(うしろやま)を眺めることができます。特にこれからの季節、10月から2月頃にかけて良く冷え込んだ晴天の早朝には、雲海が出現することもありますよ。また、温泉街には「てつどう模型館&レトロおもちゃ館」や「あの日のおもちゃ箱 昭和館」もあり、ノスタルジックな雰囲気にも浸れます。自動車が好きな方には岡山国際サーキットもおすすめで、例年4月には自動車レース「スーパーGT」が開催されます。なお湯郷温泉は高速バスで大阪や神戸から気軽にアクセスできますよ』(平田さん)
なるほど。まず高速バスで湯郷温泉に向かい、その後に美作共同バスで智頭急行の大原駅へ向かう旅のルートも考えられますね。
『大原にも名所がたくさんあります。大原駅の徒歩圏内には「古町の町並み保存地区」という一画があり、因幡街道の宿場町としての景観を保っています。本陣や脇本陣など風情ある建物も現存し、電線も地中に埋設してあるので江戸時代にタイムスリップしたような気分で散策が楽しめます。また、毎年10月の第二土・日曜には、大屋台と呼ばれる神輿がこの地区を練り歩く「大原秋祭り」も開催されます。そしてもうひとつ、この地で有名なのは剣豪・宮本武蔵の生誕地です。「岡山県史跡」に指定された武蔵の生家跡や墓など、ゆかりのスポットが点在しています。なかでも武蔵神社は、生涯無敗を誇った武蔵にあやかって、受験生をはじめ様々な思いを抱いた人々が、勝ち守り(御守り)求めて訪れます。二刀流で有名な宮本武蔵ですが、そのきっかけになったのが、「讃甘神社(さのもじんじゃ)」です。宮司の太鼓を叩くバチさばきを見て、二刀流を編み出したといわれています。少し足を延ばして東粟倉地域にバスで向かうと、林家(国指定重文化財)や後山(氷ノ山・後山・那岐山国定公園)の麓には、令和4年に指定棚田地域に指令されたばかりの「東粟倉の棚田」があり、日本人の心に響く田園風景が広がっていますよ』(平田さん)
秋祭りの時期は大いに盛り上がりそうですね。歴史好きな方にも大原探訪、おすすめしたいです。ちなみに、この地にはどんな特産品がありますか?
『「古町の町並み」エリアには130年以上、昔ながらの手作業で丁寧に日本酒を造っている「田中酒造」さんがあります。「大原白梅」「武蔵の里」などが人気のようです。また、美作インターから約3分以内の所にある道の駅彩菜茶屋などでは、鹿肉のジビエカレー、黒豆ハンバーガーといったB級グルメもお楽しみいただきたいですね。あとは美作地域の黒豆ブランド「作州黒」で作った黒豆茶もおすすめですね』(平田さん)
お土産にもよさそうですね。一方で、美作共同バスを日常の足として利用するお客様も多いのでは?
『はい。いねむりしている高校生には運転士が「着いたよ、起きて~」と一声かけたり、高齢の方には「気を付けてね」とお声がけしたり、アットホームな雰囲気で運行しています。観光でお越しになる方は、ぜひそんな和やかな雰囲気と、温泉、歴史、緑豊かな自然、グルメをまるごと堪能していただきたいですね』 (平田さん)
お話ありがとうございました!帰りは智頭急行大原駅から特急「スーパーはくと」を利用するのも良さそうです。ぜひ岡山東部の旅に出かけてみてください。